
ロシア各地でミサイル警報が相次いでいます。今年に入り、ロシアの約半数の地方でミサイル警報が発令され、人口ベースでは全体の7割余りが居住する地域で少なくとも1回は警報を経験したとみられます。これまで「後方」とみなされてきた地域にまで、ウクライナによる長距離攻撃が及ぶようになりました。
国境から約3000キロ離れた西シベリアのオムスク州でも6月に初めて警報が発令され、ウラル地方全域に警戒が広がっています。ボルガ川沿いの都市サマラ(人口約120万人)でも今週、警報発令時に地上の公共交通機関が一時停止し、地下鉄が住民の避難場所となりました。
エネルギー分野への打撃も深刻です。複数の報道によれば、ウクライナのドローン攻撃により、ロシア国内における石油精製能力の約4分の1が損なわれているとされます。なかでも大きな注目を集めたのが、モスクワ南東部にあるガスプロムネフチ系のモスクワ製油所(カポトニャ)への攻撃でした。6月16日と18日の2度にわたり被弾し、18日の攻撃はここ2年で最大規模だったと伝えられています。
石油タンクの蓋が爆発で数十メートル吹き飛ぶ映像が拡散し、市内の複数空港では発着便の乱れや乗客の避難が発生しました。ロシア国防省は同日、ドローン計555機を撃墜し、うち約200機が首都圏に接近していたと発表しています。
こうした攻撃のたびに、市民生活は揺さぶられています。各地でガソリンの販売制限が広がっているほか、道路封鎖や航空便の混乱も繰り返し発生しました。ロシア中部ウファの製油所や、ボルガ沿岸ペンザ州のミサイル部品工場なども標的となっており、前線から遠く離れた地域まで攻撃の射程に入っている状況です。
長距離攻撃が示す変化と今後の焦点
防衛省防衛研究所(NIDS)は、ウクライナ軍がロシア領内の石油施設や軍需産業拠点への長距離攻撃をどう継続してきたか、その経緯を分析しています。実際、ウクライナ国防省は、同国軍が6月だけで石油精製所11カ所のほか、燃料輸送施設や軍需工場など複数の標的を攻撃したと発表しました。攻撃対象は前線から遠く離れた地域にまで広がっています。
長距離攻撃の拡大は、前線での地上戦が膠着するなか、ウクライナがロシアの戦費や継戦能力を支えるエネルギー・軍需インフラへと攻撃の重心を移している表れとみられています。ウクライナ側が攻撃範囲や手段をどこまで広げるか、そしてロシア側が防空強化にどう対応するかが、今後の焦点となりそうです。





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