
7月2日から3日にかけての東京債券市場において、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが急上昇し、一時2.810%を記録して債券価格は大きく下落しました。日本相互証券のデータによれば、これは1997年5月以来、約29年ぶりの極めて高い水準となります。また、一部メディアでは1996年10月以来となる29年8カ月ぶりとの見方も示されており、市場に大きな衝撃を与えました。
この歴史的とも言える金利上昇の背景には、将来の深刻な財政悪化への強い懸念と、日本銀行の利上げが遅れることへの市場の警戒感があります。大きな要因の一つとして挙げられているのが、高市早苗政権が新たに打ち出した大規模な成長戦略です。高市政権は、2040年度までに人工知能(AI)など次世代の戦略17分野に対し、官民合わせて370兆円超もの巨額資金を投資する計画を掲げています。さらに消費税減税なども検討事項に挙がっており、国債の増発を伴う大幅な財政悪化リスクが強く意識され、投資家の間で国債を手放す動きが加速しています。
さらに、政府が6月末に提示した経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」の原案が市場の懸念にさらなる拍車をかけました。この原案のなかには、「強い経済」を実現するために適切な金融政策の運営が行われることが「非常に重要」であるとの文言が新たに追加明記されました。多くの市場関係者は、これを政府が日銀に対して金融緩和を続けるよう求めた事実上の牽制であると受け止めています。その結果、日銀の機動的な利上げが遅れ、物価高をはじめとするインフレの加速や将来的な大幅な金利上昇を招くのではないかとの懸念が急速に広がっています。実際に、財務省が前日の2日に実施した10年物国債の入札結果が極めて低調だったことも、国債の売りを促す直接的な要因となりました。投資家が現在の利回り水準ではリスクに見合わないと厳しく判断したことが浮き彫りとなっています。
長期金利上昇に対する市場の警戒と財務相の対応
専門家からは、現在の政府の財政方針に対する厳しい見方や警告が相次いで示されています。一方で、政府側はこうした市場の不安を打ち消そうと必死に努めています。片山さつき財務相は7月3日午前の閣議後記者会見の場で、約29年ぶりの高水準に達した長期金利の急上昇について言及しました。
片山氏は「国債市場の信認、財政の持続可能性を維持して『責任ある積極財政』をやる」と強調しました。さらに、国債の発行規模を適正な水準に見極めることで、市場からの信認を確実につなぎとめる考えを示し、財政悪化に対する不安の鎮静化を図りましたしかし、財務相の諮問機関である財政制度等審議会からも、「楽観的な見方に依拠して中長期的な視点を欠いた場合には、財政に対する市場の信認を損ないかねない」と厳しい指摘とクギを刺す提言が出ています。市場と政府のせめぎ合いが激しさを増す中、今後の政策運営と金利動向がかつてなく厳しく注視されています。












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