
東京、名古屋、福岡、札幌の4つの証券取引所がまとめた株式分布状況調査で、2025年度の個人株主数が延べ9198万人となり、前年度比839万人増と初めて9000万人の大台を超えたことが分かったです。増加は12年連続で、バブル期以来の高水準となった個人投資家の拡大傾向が一層鮮明になっています。 背景には、株価上昇による株式市場の活況に加え、株式分割の広がりや新しい少額投資非課税制度(新NISA)の普及が、投資の裾野を押し広げていることがあります。
4取引所によると、2025年度の株主数増加のうち、株式分割の効果による増加は263万人に上ったとされています。 株式分割は、1株当たりの株価を引き下げて売買単位を小さくすることで、少額から投資しやすくする狙いがあります。 東京証券取引所は、株主優待の受け取り基準になることが多い投資単位が50万円以上の企業に対し、分割などを通じた投資単位の引き下げを求めてきました。 2025年度には、日本製鉄やイオン、伊藤忠商事などの有力企業が相次いで株式分割を実施し、個人投資家の新規参入を後押ししたとみられます。
日本取引所グループの担当者は、「株式分割を行った企業では、その後数年にわたって個人株主の増加傾向が続く」と分析しており、ここ3年ほどは分割による株主数の押し上げ効果だけで毎年200万人以上増えていると説明しています。 株価の上昇局面が続いていることに加え、2024年度に本格運用が始まった新NISAの利用拡大が、投資先の多様化と個人株主数の増加に大きな役割を果たしたと指摘されています。 新NISAは、一定額までの株式や投資信託の売却益や配当が非課税となる制度で、長期・積立・分散投資を促す仕組みが家計の資産形成ニーズと合致したことで、個人投資家の参入障壁が下がった形です。
外国法人が保有比率首位、個人は金額で過去最高
投資家別の株式保有構造を見ると、保有比率のトップは外国法人などで34.7%に達し、保有金額は420兆6331億円と市場における存在感の大きさが改めて示されています。 一方、個人投資家の保有比率は17.4%にとどまるものの、保有金額は210兆7304億円と過去最高を更新しており、家計のリスク資産保有が徐々に拡大している実態がうかがえます。 国内株式市場では、長年の課題とされてきた「貯蓄から投資へ」の流れが、低金利環境やインフレ率の上昇を背景に、ようやく定着の段階に入りつつあるとの見方も出ています。
もっとも、個人株主数の増加が直ちに投資リテラシーの向上や長期安定的な資産形成につながるとは限らず、急な株価変動局面では、損失回避を優先した短期売買が増えるリスクも指摘されています。 金融庁や取引所は、制度面での後押しだけでなく、投資教育や情報開示の充実を通じて、個人投資家が企業価値や中長期の成長性を見極めながら投資判断を行える環境づくりを一層求められています。 今回明らかになった「個人株主9000万人時代」は、企業にとっても、株主との対話や説明責任の重要性が一段と増す局面であり、分割や優待だけではない、中長期的な価値向上戦略の提示が問われることになりそうです。












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