イラン、日本の大手元売りに原油購入を打診 覚書署名で輸出再開に意欲も海峡の安全確保が壁に

イランのイマームホメイニ廊にある国旗

イラン国営石油会社が、日本の石油元売り大手企業などに対して、イラン産原油の購入を打診していることが、一部メディアが7月3日に行ったイラン外交筋への取材によって明らかになりました。この動きの背景には、米国とイランが6月17日に署名した戦闘終結に向けた覚書が存在します。一部の報道や専門誌の分析によれば、トランプ大統領とペゼシュキアン大統領が署名したこの覚書は14項目におよびます。これには米国がイランの原油輸出を容認する項目に加え、イラン経済の立て直しを支援するための3000億ドル(約48.3兆円)規模の資金提供に関する内容が含まれているとされています。

イラン外交筋によりますと、国営石油会社は覚書署名以前から日本や韓国などの複数の外国企業と接触を開始していました。同報道によると、イラン側は、友好国である日本への原油輸出は歓迎すべきと前向きな姿勢を示しており、日本企業との売買契約が成立すれば、数週間以内にペルシャ湾に位置する石油積み出し拠点のカーグ島から大型タンカーを出発させる態勢が整っていると強調し、協議を本格化させたい意向を持っています。

しかしながら、日本側の受け止め方は極めて慎重です。日本の外交筋は、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡における航行の安全が十分に確保されていない現状を指摘し、現時点での交渉成立は「現実的ではない」との見解を示しています。かつてイランは日本にとって主要な原油の調達先の一つでしたが、第1次トランプ米政権が発動した2019年の全面禁輸措置を受けて、日本企業はイランからの原油輸入を完全に停止した経緯があります。現在も地域の情勢は極めて流動的であり、民間企業が安心して巨額の取引を行える環境には至っていないのが実情です。

イラン側は覚書の署名によって、日本企業などによる原油購入への確かな道筋が付いたと捉えており、積極的な営業活動を展開しています。しかし、安全保障上の懸念が払拭されない限り、かつてのような大規模な原油の直接取引がすぐに復活するかどうかは不透明な状況が続いています。

最新の米イラン協議と中東情勢の不確実性

原油輸出の本格的な再開に向けては、米国とイランの間の最終的な合意形成が不可欠となります。両国は覚書の署名後、6月21日からスイスにおいて戦闘終結に向けた高官級の協議を開始しました。この協議では、レバノンでの停戦を徹底するための枠組み作りなどで一定の合意が得られたと報じられています。

その一方で、中東地域の緊張は依然として続いています。イスラエル周辺での戦闘が継続していることに反発したイランが、再びホルムズ海峡の封鎖を示唆する事態も起きています。これに対して米国側も強い警告を発し、イラン代表団が一時協議を中断するなど、平和交渉は早くも暗礁に乗り上げる兆しを見せています。

日本の石油元売り各社にとって、米イラン間の不安定な枠組みの中で最終的な合意形成への期限が迫る中、多額の資金を投じてタンカーを配船することは極めてリスクが高い判断となります。イラン産原油の輸入再開が現実のものとなるためには、単なる外交上の覚書にとどまらず、現場海域における実効的な安全確保と、揺るぎない国際的な合意の成立が絶対条件となるでしょう。

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