
オマーン沿岸の航路を通って7月3日から4日にかけてペルシャ湾から出ようとした少なくとも8隻の船舶が、ホルムズ海峡の通過を目前にして引き返しました。米国とイランの間では海上輸送路の再開に向けた14項目の覚書合意が成立したばかりですが、重要な水路に対する支配権を主張するイランの姿勢により、なお複雑な状況が続いていることが示されています。
船舶追跡データによると、これらの船舶には石油タンカーやばら積み船、自動車運搬船が含まれており、ホルムズ海峡に向かって航行していたことが確認されました。一部の船舶は海峡に突き出たムサンダム半島の先端付近まで航行した後、大きく進路を変えています。石油タンカー1隻、製品タンカー2隻、ばら積み船1隻を含む計4隻はその後、イランの指示通りに海峡から外に向かうルートを利用するため北上し、イラン寄りの航路に変更して航行を続けました。
船舶が引き返した理由は明らかにされていませんが、イランはホルムズ海峡を通航する船舶に対し、同国が指定した承認済み航路を通じてのみ通過すべきだと繰り返し主張しています。また、直前の6月25日には、オマーン沿岸付近でシンガポール船籍の貨物船「エバー・ラブリー」が攻撃を受け、船橋(操舵室)などが損傷する事件が発生していました。米メディアなどの報道によれば、これはイランの革命防衛隊によるドローンを用いた攻撃であったことが確認されています。国際海事機関が指定した正規の航路を通る船舶に対して革命防衛隊が威嚇を繰り返している状況下で、事前の警告なしに行われた実力行使が海運各社に強い警戒感を抱かせ、自発的なUターンやルート変更の決断につながったとみられています。共同海洋情報センターのデータによれば、同海峡を通過する商船の多くが米国中心の多国籍海軍による支援を受けているものの、民間商船の自律的かつ安全な航行は依然として担保されていません。現在、海峡を通過する船舶数は、紛争勃発前の水準をはるかに下回ったままです。
通航料の徴収も示唆、深まる海運業界の懸念
事態をさらに複雑にしているのが、イランによる通航料の徴収構想です。イランのアブドルレザ・ラフマニ・ファズリ駐中国大使は7月4日、ホルムズ海峡を通航する船舶に課すサービス料の水準を決定する際、中国などの友好国には「特別な配慮」を与える方針を明らかにしました。
同大使は、米国などとの長引く紛争を経て、ホルムズ海峡の管理がイランの国家安全保障上の問題になったとの認識を示しています。物理的な航行ルートの強制だけでなく、経済的・制度的な支配をも強めようとするこの動きに対し、海運関係者の間では困惑が広がっています。
特定の国に対する優遇措置をちらつかせながら、実質的な海峡の私物化を進めるイランの姿勢は、国際的なサプライチェーンの安定に深刻な影を落としており、今後の海運コストの高騰や中東向け輸送の停滞が強く懸念されています。












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