
イランが、ホルムズ海峡を通航する船舶への手数料徴収をめぐり、中国など「友好国」に特別な配慮を行う方針であると示しました。イランのアブドルレザ・ラフマニ・ファズリ駐中国大使は7月4日、北京で開催された世界平和フォーラムにおいて、同海峡が自国の領海の一部であることを理由にサービス手数料を徴収すると表明しました。
ただし、この手数料は「通航料」ではないと強調し、具体的な金額や対象国は明らかにしていません。
背景には、先月19日に署名された米国とイランの暫定和平合意があります。この合意では、商業船は60日間、無料で同海峡を通過できると規定されていましたが、その期限後の扱いは不透明なままです。イランは新たな枠組みについて、オマーンと協議を重ねていると説明しています。
ホルムズ海峡は世界の海上原油輸送量の約2割が通過する要衝です。2月28日の米・イスラエルによるイラン攻撃を機に事実上封鎖され、国際社会に大きな影響を与える事態となりました。なお、沿岸2カ国のうち国連海洋法条約を批准しているのはオマーンのみで、イランは同条約に未加入という点も、今回の議論の前提として押さえておく必要があります。
同条約は原則として、海峡沿岸国による航行料金の徴収を認めていません。このため米国や湾岸アラブ諸国は、イランとオマーンが一方的に料金を設定する動きに強く反発しています。日本や欧州主要国も、ホルムズ海峡は国際公共財であるとの立場から安全な航行の確保を求めており、特定国への差別的な扱いに懸念を示しています。
中国・日本を巻き込む通航認証の行方
中国は、イラン産原油のほぼ全量を購入する最大の買い手です。中国外交部の報道官は4月、同海峡の円滑な通航を維持することは国際社会の共通利益に合致すると繰り返し表明してきました。イランが中国を「友好国」として名指ししたことは、原油取引を軸とする両国関係が、通航をめぐる制度設計にも影響しうることを示しています。
日本にとっても、海峡の安定はエネルギー安全保障上の死活問題です。日本政府は、特定国への優遇措置ではなく海峡全体の「全面的な開放」を一貫して求めてきました。米国や湾岸諸国も、イラン・オマーンによる通航料などの徴収は一切拒否する立場を表明しており、日本もこうした国際的な足並みに合わせる姿勢を崩していません。
イランとオマーンが構想する新たな枠組みは国連海洋法条約とどう整合するのか。友好国への特別配慮がエネルギー輸入国間の分断を招くのか。国際社会は、こうした対応を問われる局面が続きそうです。












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