
欧州の自動車市場において5月、中国の乗用車シェアが初めて日本を逆転しました。
欧州自動車工業会(ACEA)の5月の新車販売統計によると、欧州主要31カ国でのBYD、上海汽車集団(SAIC)、浙江吉利控股集団、奇瑞汽車(チェリー)、浙江零跑科技(リープモーター・テクノロジー)の中国勢5社の販売台数は前年同月比65%増の13万8410台を記録しました。一方で、トヨタ自動車、日産自動車、スズキ、マツダ、ホンダ、三菱自動車の日本勢6社の合計は前年同月比3%減の13万424台にとどまり、中国勢が日本勢を6%上回る結果となっています。
なお、ACEAは4月から吉利など中国3社を統計に加え、スウェーデンのボルボ・カーを吉利の内数として算出するようになりました。4月時点では日本が12万7064台で、中国の12万5864台を1%上回っていましたが、5月についに逆転を許しました。過去2年間の月次ベースで前年同月を上回った回数を見ても、日産が2回、マツダが7回にとどまるのに対し、SAIC は17回、2025年7月から統計に加わったBYDは11回に上り、勢いの差は明白です。
欧州連合(EU)は中国製電気自動車(EV)に対して2024年秋に追加関税を発動し、従来の10%に最大35.3%を上乗せして計45.3%を課していますが、中国勢の低価格という強みは失われていません。例えば、BYD の小型EV「ドルフィンサーフ ブースト」のドイツでの価格は2万6990ユーロ(約500万円)からとなっており、競合する仏ルノーの類似モデル「ルノー5 E-Tech」と比較して3%安く設定されています。
加えて、中国企業がシェアを拡大している背景には、欧州各国におけるEV補助金の復活があります。ドイツでは2023年12月に補助金を廃止していましたが、2026年1月から、新規のEV購入に対して最大6000ユーロ(低所得の多子世帯等の条件を満たす場合)、追加関税の対象外であるプラグインハイブリッド車(PHV)やレンジエクステンダー車に対しては基本1500ユーロを支給する制度が始まりました。イタリアやスウェーデンでも支援が拡充されています。
日本企業はハイブリッド車(HV)に強みを持つものの、EVのラインアップが少ないため、各国の優遇策の恩恵を十分に受けられていません。中国の内需が停滞し、BYDの2026年1〜6月の新車販売が前年同期比16%減の180万8511台となる中、中国メーカーはさらに海外市場へと活路を見出しています。
中国勢の欧州域内生産と拡大する海外販売目標
追加関税の影響を回避するため、中国勢はEU域内での現地生産にも本腰を入れています。リープモーターはスペインにある欧州自動車大手ステランティスの工場で多目的スポーツ車(SUV)の組み立てを開始します。また、チェリーは4月にスペインのバルセロナに欧州事業の統括拠点を設立しました。
このような現地化戦略と並行して、輸出も加速しています。2026年7月1日に発表されたBYDの1〜6月の海外販売は前年同期比7割増の78万9367台に達しました。6月の乗用車の海外販売比率は44%となり、前年同月から20ポイント増加しています。BYDの王伝福董事長は6月上旬の株主総会で、「2026年の海外販売は160万台を上回る見通しだ」と明言しました。2025年の実績である104万台から1.5倍以上の急成長を見込んでおり、今後も中国車の攻勢は一層強まることが予想されます。












-300x169.jpg)