
東京証券取引所が7月2日に発表した6月第4週(22日〜26日)の投資部門別売買動向によると、個人投資家は日本株の現物取引と信用取引の合算で9503億円の大幅な買い越しを記録しました。これは2024年4月第3週に記録したこれまでの過去最大値である9085億円を上回り、過去最大の買い越し額となります。
この週の東証株価指数(TOPIX)は週間で2%安、日経平均株価は前週末比で1889円(2.7%)安となる6万9360円まで急落しました。これまで日本市場を牽引してきたAI相場の持続性に対する懐疑的な見方が広がり、これまで相場を牽引してきたAI・半導体関連株を中心とした利益確定売りが発生したことが大きな要因です。
各投資主体の現物売買動向を詳しく見ると、個人投資家が3週ぶりに9503億円を買い越し、過去最高を記録したのとは対照的な動きが他部門で見られました。海外投資家は現物株において2週間ぶりに巨大な売り越しへと転じました。その現物の売り越し額は1兆2378億円に達し、現物と先物の合算では3月第4週以来、3ヵ月ぶりの売り越し規模となりました。さらに、海外投資家は先物ベースでも5046億円を売り越しており、現物と先物の合計では1兆7424億円という極めて規模の大きな資本流出となりました。前週は7598億円の買い越しだったことから、市場のモメンタムが急激に反転したことがわかります。 また、その他の主体においては、事業法人が7週ぶりに2669億円の売り越しに転じました。 一方で、年金基金の動向などを反映する信託銀行は、4週ぶりに273億円の買い越しとなっています。
日本の個人投資家は下落局面で買いに向かう「逆張り」の傾向が強いことで知られていますが、今回の相場急落時においてもその姿勢を鮮明にしています。個人投資家の買い越しの内訳を詳しく見ると、現金による買い越しが3562億円であったのに対し、信用取引による買い越しが5941億円と過半を占めています。レバレッジを効かせた強気な投資行動が浮き彫りになっており、海外資金が大規模に流出する中で、個人の旺盛な押し目買いが相場の下値を支える特異な構図となりました。
AI相場の岐路と内需・派生テーマへの資金シフト
海外投資家による1兆円を超える大規模な売り越しと、個人投資家の過去最高となる記録的な逆張り買いが交錯したことで、今後の日本株市場の方向性に高い関心が集まっています。市場全体としてはハイテク株のバリュエーション調整が進む一方で、資金が完全に流出しているわけではなく、新たなテーマへのローテーションも観測されています。
たとえば、AIに関連する派生テーマとして、ハードウェア実装に不可欠な「プリント基板」関連や、政府が「戦略17分野」として2040年度までに官民で370兆円超の投資目標を掲げ、経済産業省が開発支援を打ち出している「フィジカルAI」などに物色の矛先が向かっています。また、消費減税の議論などを背景に、国策の追い風が期待される食品関連銘柄など、内需・ディフェンシブセクターへの資金流入も目立ちはじめています。
ネット上の投資家の間では、「ここでの押し目買いは絶好のチャンスになる」「半導体関連はまだ調整が長引くのではないか」「海外勢の売りが続くなら、個人の信用買い残が将来的な下落リスクになりそうで怖い」といった、期待と警戒が入り交じる多様な意見が寄せられています。相場を下支えする個人の強気な姿勢が吉と出るか、今後の動向が注視されます。
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