
回転ずしチェーン「くら寿司」を展開するくら寿司(大阪府堺市)の米子会社・くら寿司USAが、米国での出店を加速させています。日本の競合チェーンが本格参入する前に主要都市で店舗網を広げ、長期的には全米で約300店舗体制を構築する方針です。 現在は西海岸を中心に展開していますが、今後は内陸部を含む新たなエリアへの進出を強化し、「回転ずしといえばくら寿司」と認知されるブランドを目指します。
くら寿司USAは2009年に米国1号店を開業し、現在はカリフォルニア州などを中心に90店舗超を運営しています。 2019年にはナスダック市場に上場しており、日系の回転ずしチェーンとしては米国市場で先行する存在です。 足元では積極的な出店投資などの影響で営業赤字が続いていますが、同社は本部経費の効率化や店舗オペレーションの改善により、中期的な黒字化に自信を示しています。
米国市場では、ライバルであるFOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)が展開する「スシロー」が今秋、ニューヨーク・マンハッタンのタイムズスクエアエリアに米国1号店を開業する計画を明らかにしています。 くら寿司USAはこうした動きを念頭に、先行出店による市場の囲い込みを進める戦略で、これまでに人口規模の大きい主要都市への出店を概ね達成し、次の段階として全米50の主要都市圏への展開を視野に入れています。
集客面では、日本発の知的財産(IP)と連動したキャンペーンが柱となっています。人気キャラクターとのコラボレーションや来店特典企画を通じて、家族連れや若年層のリピーター獲得を狙っています。 こうした施策は売り上げの底上げに寄与しているとされ、同社は今後も年間を通じて複数回のコラボ企画を展開する方針です。
くら寿司USAの成長戦略とトランプ大統領の投資
くら寿司USAの成長戦略をめぐっては、投資家の関心も高まっています。2026年5月には、トランプ米大統領がくら寿司USA株を取得していたことが、米政府倫理局の開示資料から明らかになりました。 資料によると、トランプ氏は2026年2月2日に同社株を約100万〜500万ドル(約1億5900万〜約7億9500万円)の範囲で購入しており、日本の個別銘柄としては比較的大きな投資案件とされています。 この報道を受け、日本市場のくら寿司株は一時上昇する場面もみられました。
一方で、米国の外食市場は景気減速懸念や消費マインドの変化、原材料費や関税の上昇など逆風も抱えています。 くら寿司USAは2019年以降、業界平均を上回るペースで価格改定を行ってきたと指摘されており、値上げが需要に与える影響を慎重に見極める必要があります。 それでも、アナリストの間では、回転ずし市場で最大手クラスのポジションを先に築いている点や、予約システムの拡充、テクノロジーを活用した効率的な店舗運営などを評価する声もあります。
長期的な課題は、日本食文化へのなじみが比較的薄い内陸部で需要を開拓できるかどうかです。 同社は、生魚に抵抗のある層も取り込むため、ラーメンや天ぷらなど寿司以外のメニューも拡充し、家族全員が楽しめる総合的な外食ブランドとしての地位確立を目指しています。 経営陣は「10年、20年後には、全米で知らない人がいないブランドになりたい」としており、先行投資と収益性の両立が今後の焦点となります。












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