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米国と日本が、半導体や先端兵器システムに不可欠な戦略鉱物「タングステン」の新たな供給源として、韓国江原道寧越郡(カンウォンド・ヨンウォルグン)の上東(サンドン)鉱山に熱い視線を注いでいます。同鉱山は、鉱石採掘の世界大手である米アルモンティ・インダストリーズ(Almonty Industries)の韓国法人の主導により、1994年の閉山から32年ぶりに本格的な採掘を再開し、グローバルサプライチェーン再編の試金石として浮上しています。
現在、世界のタングステン供給量の約85%を中国が独占しています。中国が昨年から大規模な輸出規制を展開し、日本への輸出を事実上停止するなど資源の武器化を進める中、日米の経済安全保障にとって調達ルートの多様化は喫緊の課題です。こうした状況下で、単一鉱山として世界最大規模となる5,800万トンの埋蔵量を持つ上東鉱山の復活は、中国の支配的な供給網に風穴を開け得る極めて有力な対抗馬として高く評価されています。
アルモンティ社は10年にわたる準備を経て、今年3月に竣工式を実施し本格稼働に入りました。当初の年間生産量2,600トンのうち、2,100トンは契約に基づき直ちに米国へ輸出されます。同社はさらに工場増設を進め、将来的には年間4,600トン規模の生産体制を構築する計画です。現在、タングステンの年間生産量は中国が67,000トンと世界第1位(シェア約85%)を占めており、第2位のベトナム(3,400トン)、第3位のロシア(2,000トン)が続いています。上東鉱山の増設目標が達成されれば、単独の鉱山でありながらベトナムやロシアを一気に抜き去り、世界第2位の生産規模に躍り出ることが可能です。日本経済新聞も、中国依存の脱却を目指す日本への供給視野について報じており、日韓産業連携の新たな柱となる可能性が示唆されています。
かつて韓国経済を支えた歴史的鉱山と日米の安全保障戦略
上東鉱山は、歴史的にも韓国経済に一時代を画した重要な拠点です。1916年に露頭が発見されて以来、1950年代半ばには韓国の国内総生産(GDP)の70%に達するほどの付加価値を誇りました。当時、日本などへの輸出で稼いだ外貨は「重石弗(チュンソクブル)」という新造語を生むほど重宝されましたが、1990年代に中国産による低価格の物量攻勢を受け、1994年に閉山の苦杯をなめました。
しかし現在、米国防総省が来年から防衛企業における中国産タングステンの使用禁止を準備するなど、同盟国間でのデカップリング(切り離し)が加速しています。日本においても、上東鉱山からの供給が実現すれば調達先が広がり、日本の産業界にとって大きなメリットをもたらします。皮肉にも、かつて上東鉱山を閉山に追い込んだ中国の覇権的な市場支配が、32年の時を経て、同鉱山を安全保障上の最重要拠点として再び脚光を浴びせる結果となっています。
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