
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは7月6日、主要油種アラブ・ライト原油の8月積みアジア向け公式販売価格(OSP)を発表しました。指標となるオマーン/ドバイ平均価格に対し1バレル1.50ドルのディスカウントに設定し、前月比では11ドルの引き下げとなります。
今回の下げ幅は、過去20年あまりで最大級とみられ、8月のOSPは2020年6月以来の安値水準です。前月は9.50ドルのプレミアム(上乗せ)だったため、一転してディスカウントへの転換となりました。
今回の決定は、事前の市場予想を大きく上回る下げ幅となりました。ブレント原油の指標価格は1バレル72ドル前後まで下落しており、これまでの地政学リスクを反映した上乗せ分はほぼ解消された状態です。背景にあるのは、湾岸産油国が供給量を増やしたことによる原油スポットの価格下落です。
供給量が増えた要因としては、地政学リスクの後退が挙げられます。ホルムズ海峡周辺の緊張緩和を受け、海上輸送が徐々に正常化し、原油供給が回復していると報じられました。6月の米イラン暫定合意により、イラン産原油への制裁も一部緩和され、中東産原油の供給余力が拡大しています。さらに「OPECプラス」が7月5日の会合で8月からの増産を承認したことも、世界的な供給過剰感を強めました。
サウジはアジア市場でのシェア回復を優先し、価格面での競争姿勢を明確にしたとみられます。一方、トレーダーの間では他の中東産原油と比べサウジ産は依然として割高との見方もあり、今回の値下げが需要喚起につながる効果は限定的だとの指摘も出ています。
欧州・北米向けも値下げ 世界市場への波及とアジア需要の行方
値下げの動きはアジア向けにとどまりません。北西欧州向けアラブ・ライト原油のOSPは、ICEブレントに対し0.85ドルのプレミアムとなり、前月から15ドルの引き下げとなりました。
北米向けもアーガス・サワー原油指数(ASCI)に対し4.60ドルのプレミアムとし、前月比8ドルの値下げです。主要販売地域で軒並み価格を引き下げたことで、世界の原油相場への下押し圧力が強まるとの見方が市場関係者の間で広がっています。
アジアのトレーダーからは、他の湾岸産油国も競争的な価格設定を続けているため、サウジ産原油の割高感は根強く残るとの声が上がっています。買い手優位の構図はすぐには変わらないとの見立てです。停戦は不安定な状態が続いており、中東地域からの原油輸送リスクも払拭されていません。












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