SBI、EDX出資で機関投資家向けデジタル資産戦略を加速

SBIホールディングスが、機関投資家向け暗号資産インフラの強化に向けて米EDX Marketsへの大型出資を実行し、自社が推進するステーブルコイン戦略との連携を本格化させています。SBIホールディングスは7月8日、機関投資家向け暗号資産(仮想通貨)取引インフラを提供する米EDX Markets(EDXマーケッツ)のシリーズC資金調達ラウンドに参画したと発表しました。

EDXは7月7日、総額7,600万ドル(約123億円)のシリーズCの実施を公表しており、このラウンドはSBIがリード投資家として主導した形となります。EDXは、機関投資家向けの現物取引市場と中央清算機能を組み合わせたプラットフォームを提供する企業で、取引・清算・決済といった市場インフラをワンストップで提供することを特徴としています。

調達資金は、こうした機能の拡充や新プロダクトの開発、グローバル事業の拡大などに充てられる予定で、SBIの出資によって日本発の金融グループが米機関投資家向け暗号資産市場の整備を後押しする構図が鮮明になりました。SBIは国内で、信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」を6月24日に発行開始するなど、デジタルアセット・エコシステムの構築を進めています。JPYSCはSBI新生信託銀行が発行し、SBI VCトレードの口座内限定で先行提供される日本円連動の電子決済手段で、信託型として国内初となるステーブルコインです。

このほか、ドル建てステーブルコイン「RLUSD」や「USDC」の取り扱いも通じて、機関投資家や法人向けの大口送金やクロスボーダー決済などを視野に入れたデジタル通貨インフラの整備を進めており、今回のEDX出資は、こうしたステーブルコイン事業を海外の機関投資家向け取引・清算・決済の枠組みと接続する狙いがあるとみられます。

信託型ステーブルコインと米取引インフラの連携がもたらす波及効果

SBIグループが発行するJPYSCは、日本の資金決済法に基づく「第3号電子決済手段」に分類され、既存の資金移動業型ステーブルコインと異なり、1回あたり100万円の送金・滞留上限を受けない点が特徴です。信託銀行が裏付け資産を管理することで資産保全を図るスキームとなっており、オンチェーン外国為替市場や国際送金など、法人を含む多様なユースケースを想定しているとされています。

EDX側では、企業が自社顧客向けにデジタル資産取引サービスを提供できる「EDX FlowConnect」を立ち上げたほか、米通貨監督庁(OCC)に対してデジタル資産のカストディ、清算、決済、リスク管理サービスを提供する国法信託銀行「EDX Trust」の設立を申請するなど、機関投資家向けの市場インフラ拡充を進めています。

こうした米国側の取引・清算基盤と、日本で法令に準拠したステーブルコイン事業を展開するSBIグループの取り組みが接続されることで、機関投資家にとって信頼性の高いデジタル資産市場へのアクセスが広がる可能性があります。

SBIはプレスリリースで、信託型円建てステーブルコインやドル建てステーブルコインの取り扱いを通じてデジタルアセット・エコシステムを拡大していく中、機関投資家による採用には信頼性の高い市場インフラが重要な基盤になるとの認識を示しています。今回の出資は、国内初の信託型ステーブルコイン発行と海外の機関投資家向け市場インフラ整備を両輪で進めることで、デジタル資産の本格的な制度化・実務利用に向けた環境づくりを加速させる動きと位置づけられそうです。

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