
マイナンバーカードは現在、運転免許証として活用することができます。これは、マイナンバーカードのICチップにある空き領域へ運転免許証の情報を記録し、「マイナ免許証」として活用する仕組みです。後述するように、マイナ免許証には様々なメリットがあります。
しかし、その一方でスマートフォンに搭載したマイナンバーカードは、現状免許証としての利用することができません。もし「モバイル免許証」が実現すれば、免許証やマイナンバーカードそのものを持ち歩かなくても、スマートフォンだけで自動車や二輪車を運転できるようになります。
では、モバイル免許証はいつ実現するのでしょうか?
<目次>
「これ1枚」で様々な行政手続きが可能に!

マイナンバーカードは、日本のGovTechを支える中核的なインフラの一つとなっています。行政手続きを一元的に管理できるだけでなく、利用者にとっても「これ1枚」でさまざまなサービスを利用できる利便性を備えられるようになりました。
現在では健康保険証や運転免許証としても利用できるようになり、さらに病院や薬局では、マイナンバーカードを認識する機器が設置されています。
マイナ保険証は導入当初、「デジタルが苦手な高齢者は扱えない」「個人経営の病院に大きな負担をかける」と言われてきました。しかし、いざサービスが開始されると、SNSではその利便性に好意的な反応が目立つようになりました。懸念されていたマイナンバーカード偽造の問題については、実際には従来の紙の健康保険証よりも高い偽造対策が施されていることが、徐々に知られるようになっています。
現在流通している偽造マイナンバーカードは、あくまでも券面だけを表面的に模倣したものに止まります。カード内部のICチップまで再現した事例はこれまで確認されておらず、また本物のマイナンバーカードからICチップを物理的に取り出そうとした場合は故障する構造になっているそうです。
デジタル庁はICチップ認証による本人確認ができる設備を普及させるよりも、マイナンバーカードそのものの普及を優先した側面があります。その結果、金融機関や通信会社などでは、ICチップを読み取らず券面を目視で確認する運用が続き、粗悪な偽造カードを見抜けないケースが発生してきました。
こうした運用上の課題は残るものの、「マイナンバーカードは紙の保険証よりも遥かに偽造が難しいもの」という認識は、広く周知されるようになりました。
マイナ免許証のメリットとは?

2025年3月24日、マイナンバーカードと運転免許証の一体化のサービスが始まりました。これは決して義務ではなく、免許所持者は従来型免許証、マイナンバーカードへの免許証情報の入力、そしてその両方の所持という3通りの選択肢が与えられています。
では、マイナ免許証にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
まず、大きな利点の一つが、住所や氏名の変更手続きの簡略化です。あらかじめ「住所変更ワンストップサービス」等の利用開始手続きを踏まえることで、氏名・住所の変更が容易にできるようになります。運転免許センターに行かなくとも、市区町村窓口に届け出るだけで住所変更手続きを実施できるようになるということです。
さらに、免許更新の利便性も向上します。住所地以外の都道府県で行う「経由地更新」の手続きがスムーズになり、更新期間中に帰省や出張をしている人でも更新しやすくなりました。ただし、これは優良運転者・一般運転者のみが対象です。
加えて、同じく優良運転者・一般運転者を対象に、更新時講習をオンラインで受講できるようになりました。これは、更新時講習を自宅にいながら受講できるサービスであり、スマートフォンやパソコンを使って、24時間いつでも講習を視聴することができます。
モバイル免許証はいつ実現するのか?
2026年6月現在、マイナンバーカードはiOS・Androidのスマホのウォレット機能に搭載することができます。これはそのまま健康保険証として活用でき、現在全国の医療機関でモバイル保険証に対応する認識機器が導入されています。
一方で、スマートフォンに搭載したマイナンバーカードは運転免許証として利用することができません。少々分かりづらい点ですが、現在のスマホ搭載マイナンバーカードは「健康保険証にはなるが、運転免許証にはならない」というのが現状です。
デジタル庁公式サイトのQ&Aでは、このように説明されています。
Q7 電子証明書を搭載したAndroidスマートフォンを運転免許証として使用できますか。
A7 電子証明書を搭載したAndroidスマートフォンをマイナ免許証として用いることはできません。(マイナンバーカードの運転免許証利用 デジタル庁)
しかし、デジタル庁はモバイル免許証の実現に対して強い意欲を見せています。以下は2026年6月6日の平将明デジタル大臣(当時)の記者会見からの抜粋です。
(問)iPhoneへのマイナンバーカード機能搭載について、国民の皆さんにとって利用シーンが多いのはやはりマイナ保険証だと思います。マイナ保険証の利用が可能となる時期と、運転免許証としての利用は、仕組みが異なるため使えないという理解でよろしいでしょうか?
(答)まずマイナ保険証でありますが、iPhoneのみならずAndroid端末についても、マイナンバーカード機能が搭載されたスマートフォンを、マイナンバーカードと同様に、各医療機関等で健康保険証として利用できるようにしていく予定であります。
(中略)
あとマイナ免許証についてですが、本年3月から開始した、いわゆるマイナ免許証は、希望者のマイナンバーカードのICチップの空き容量に独自アプリを搭載し、運転免許証情報を記録して、運転免許証として利用できるようにするものであります。今回iPhoneに搭載される機能には、この運転免許証用の独自アプリは含まれていません。ですので、現時点においてマイナ免許証のスマホ搭載は実現していません。他方で、デジタル社会の実現に向けた重点計画というものがありまして、その重点計画においては、スマートフォンに運転免許証情報を記録するモバイル運転免許証については、極力早期の実現を目指すとされています。ですので、そのことを踏まえて引き続き、警察庁と連携し、早期実現に向けて今検討を進めているところであります。
(平大臣記者会見 令和7年6月6日 デジタル庁 太字は筆者)
この会見は2025年の内容ですが、今に至るまでモバイル免許証は実現しておらず、「検討を進めている」という段階に留まっているようです。
警察庁が示す見解

では、モバイル免許証の実現に向けて、警察庁はどのようなスケジュールを描いているのでしょうか?
筆者はこの点について、警察庁交通局運転免許課にメールで次の2点を質問しました。
Q.1 スマホに搭載のマイナンバーカードが運転免許証として利用できるようになるのはいつ頃でしょうか?
Q.2 スマホ搭載マイナンバーカードが免許証として利用できるようになるための計画、仕組みの整備、スケジュール、実証実験等の具体的な進捗についてお聞かせください。
この2つの質問に対して、警察庁は1つの回答を出しています。
A.ご質問の趣旨について、必ずしも正確に理解しているわけではありませんが、運転免許情報をスマートフォンに搭載する「モバイル運転免許証」については、現在、システムの在り方を含めた具体的な実現方法について検討を進めているところです。
実現時期については、必要な制度設計を行った後、極力早期の実現を目指すこととしています。
回答から分かるのは、モバイル運転免許証の実現に向けた検討は進められているものの、導入時期や制度設計のスケジュール、実証実験の予定といった具体的なロードマップは、現時点では公表されていないということです。
また、回答冒頭には「ご質問の趣旨について、必ずしも正確に理解しているわけではありませんが」との一文も添えられていました。少なくとも今回の回答からは、モバイル運転免許証の実現に向けた役割分担や検討状況を詳しく読み取ることはできませんでした。
実際の制度設計やシステム構築が今後どのようなスケジュールで進められるのか、そして国民がスマートフォンだけで運転できる時代がいつ訪れるのか――今後の動向に注目したいところです。
















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