
株式会社りそなホールディングス、株式会社ジェーシービー(JCB)、および運賃収受機器大手の株式会社小田原機器の3社は7月9日、路線バスにおける新たな乗車体験を実現するため、「UWB(超広帯域無線通信)決済に関する協業覚書」を締結したと発表しました。スマートフォンをかばんやポケットから取り出さずに運賃支払いが完了する「手ぶら決済(ハンズフリー決済)」の実用化を目指す画期的な取り組みです。
本件は、2026年3月4日にりそなグループとJCBが締結したUWB決済の本格的実用化に向けた「基本合意書」の取り組みをさらに発展させたものであり、国内の路線バス向け運賃収受機器の製造・販売で高いシェアを持つ小田原機器が新たに参画する形となりました。これまで駅の改札やレジを持たないバスや路面電車といった公共交通向けのソリューションは十分に整備されてきませんでしたが、この新技術の導入によって乗客の利便性は飛躍的に向上します。
これまで交通決済の主流であったNFCを活用したタッチ決済や二次元コード決済では、端末に対してデバイスを10センチ程度まで近づけて「かざす」物理的な動作が必要でした。しかし、今回採用されるUWB通信は、数十メートル離れた場所からでもデバイスの正確な位置特定と高速通信を同時に処理できる次世代の無線通信技術です。従来の通信規格が抱えていた物理的な「かざす」という制約をクリアできるため、雨の日や荷物で両手が塞がっている時でも、乗客は立ち止まることなくスムーズに乗り降りできるようになります。
実用化に向けたロードマップとして、2026年度から実際の路線バスを用いた決済および技術実証実験をスタートさせる計画です。その後、2027年度には一部路線での小規模な商用化を進めて最終的な事業化判断を行い、2028年度を目標にハンズフリー決済の本格的な実用化およびサービスの開始を目指しています。
また、利用者の乗降履歴や移動データと連携させることで、個人のスマートフォンや車内のスマートディスプレイを通じ、一人ひとりのニーズに合わせた広告配信やクーポンの提供、ポイント付与といった付加価値サービスの展開も計画されています。決済手段の利便性向上にとどまらず、日々の移動時間の価値を大きく高める新しい体験が提供される見込みです。
深刻な運転手不足の解消と安全運行への貢献、次世代インフラへの期待
今回の最新技術の導入は、バス業界が直面する構造的な課題解決に大きく寄与すると期待されています。近年、乗務員の高齢化や深刻な運転手不足が進み、多様な決済対応や乗客へのサポート業務が現場の負担を重くし、混雑時の定時運行への悪影響が課題となっていました。
「ハンズフリー決済」が普及すれば、乗客が支払い動作に手間取ることによる遅延を防ぎ、自動で認証と決済が行われます。運転手は乗降時の決済対応や問い合わせから解放されて安全運転に専念できるため、安全性の向上や定時運行に直結します。また、正確な位置情報を活用して車内の混雑状況をリアルタイムかつ詳細に把握し、停留所で待つ乗客にアプリを通じて空いている後続バスへの乗車を案内するといった、混雑回避を自主的に促す運用も想定されています。
このインフラ変革をグローバルな基準で推進すべく、小田原機器はUWB通信の国際標準化団体である「FiRa Consortium」に新たに参画しました。3社は同団体での活動を通じて技術標準化を進め、将来的には路線バスにとどまらず、親和性の高い地方インフラや鉄道、さらには一般商業店舗決済とも連携するシームレスなサービス実現を目指しており、日本発のタッチレス社会に向けた動きが本格化しています。










の取締役部長の鉄信一様-280x210.jpg)

-300x169.jpg)