
韓国半導体大手のSKハイニックスは7月10日、米ナスダック市場で米国預託証券(ADR)の取引を開始しました。新株を原資とするADRを発行し、世界的にも異例の大型資金調達に踏み切っています。
公募価格は1株149ドルに設定され、発行数は1億7790万株です。調達額は約265億ドル(約4兆3000億円)に上りました。これは2014年のアリババ、2019年のサウジアラムコの新規株式公開(IPO)を上回る規模で、外国企業による米国IPOとしては史上最大となります。米国株式市場全体で見ても、6月に上場した米宇宙企業スペースX(約857億ドル)に次ぐ史上2番目の大型ディールです。
ADRは米国外企業の株式を裏付けとする証券で、米投資家がドル建てで取引できる仕組みです。SKハイニックスは韓国取引所で5月27日に時価総額1兆ドルを突破し、6月22日には一時、サムスン電子を上回って韓国企業として時価総額首位に立ちました。
この1年で株価は約7倍に上昇し、AIブームを追い風に評価が急伸しています。ナスダック参入により、エヌビディアやTSMC、マイクロン・テクノロジーなどAI関連の有力銘柄と同じ市場で取引されることになり、世界の投資家層への認知拡大が見込まれます。
SKハイニックスは、AIサーバー向け高帯域幅メモリー(HBM)で世界首位のシェアを握り、エヌビディアの主要供給元です。2025年12月期はHBM売上高が前年比で2倍超に拡大し、通期営業利益は初めてサムスン電子を上回りました。同社は巨額投資を通じて供給能力の拡大に踏み切っており、市場の注目が集まっています。
AI特需の裏にある成長とリスク
SKハイニックスのナスダック上場は、AI関連投資の熱気を象徴する動きと受け止められています。同社やマイクロンなどメモリー各社は、AI需要を見込んでHBM向け設備投資を急ピッチで進めていますが、新たな生産能力が稼働するまでには時間差があり、稼働時点で需給バランスが崩れるリスクも指摘されています。
調達資金の払い込みは7月14日を予定しており、その後に新株の効力が発生する見通しです。証券会社の間では、ナスダック100など主要指数への組み入れが実現すれば、パッシブ運用の資金流入も見込めるとの見方が出ています。AI投資の波に乗るSKハイニックスが世界的な半導体サイクルの中でどこまで成長を持続できるか、今後の設備投資と需給動向が焦点となります。









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