
米アップルの主力スマートフォン「iPhone」に対する値上げの観測がにわかに強まっています。背景にあるのは、生成AI(人工知能)の急速な普及に伴うデータセンター用メモリー半導体の世界的な需要激増と、部品価格の異例な高騰です。
米エヌビディアが牽引するAI用サーバー需要の拡大を受け、主要半導体メーカーは利益率が極めて高いAI向け製品に生産を集中させています。その結果、パソコンやスマートフォンに採用される汎用メモリーの供給が逼迫し、価格が昨秋から3倍へと暴騰する事態を招きました。
この深刻なコスト上昇は、すでに他の電子機器を直撃しています。アップルは6月25日、パソコン「Mac」やタブレット端末「iPad」について、日本国内の販売価格を2割から3割引き上げました。例えば、今回の価格改定では「MacBook Neo」が9万9,800円から11万9,800円(2万円増)へと引き上げられました。さらに、「MacBook Air」(13インチ)は18万4,800円から22万4,800円(4万円増)へ、無印の「iPad」(第10世代)も5万8,800円から7万4,800円(1万6,000円増)へと大幅に値上がりしています。
今回の改定で「iPhone」の価格は据え置かれましたが、同様の部品価格高騰の影響を回避するのは極めて困難と見られています。AI機能を処理するために次世代端末でもメモリー容量の増強が見込まれる中、一部の報道では、秋の新型モデル発売時にコスト増が価格転嫁された場合、標準モデルであっても現在の13万円から15万円を超える価格帯へ引き上げられる可能性が指摘されています。
駆け込み需要で販売急増、中古市場にも波及する価格転嫁への警戒感
このような将来的な値上げに対する警戒感から、市場では「先回り需要」による急激な動きが見られます。
調査会社の調べによると、アップルの価格改定直前にはMacやiPadで極めて大規模な駆け込み需要が発生しました。一方、値上げ対象外だったiPhoneでも買い急ぐ動きも強まっています。
さらに中古市場も連動して活性化しています。伊藤忠グループのBelongによると、価格改定後の3日間で中古スマホの販売台数が16%増加し、平均購入単価も14%上昇しました。値上がり前の駆け込みと将来の値上げを警戒した消費者が、状態の良い中古端末へ先回りして殺到している構図が鮮明になっており、デバイス市場全体が緊迫感に包まれています。


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