
伊藤忠商事はダイキン工業と共同で、使用済みの業務用エアコンからアルミニウムなどの金属を高純度で回収し、再び空調製品へと再生する事業を開始すると発表しました。一部メディアの報道によると、日本のアルミ輸入は中東への依存度が約3割と高く、情勢緊迫によるサプライチェーンの混乱リスクが懸念されています。この課題に対応するため、両社は連携して国内における資源循環網の構築を急ぎます。
具体的には、伊藤忠子会社の伊藤忠メタルズが中心となり、商業施設やオフィスビルからダイキン製の使用済みエアコンを回収する体制を整備し、2026年中に事業をスタートさせます。家庭用エアコンが家電リサイクル法で回収義務付けの対象である一方、業務用エアコンはこれまで産業廃棄物として処理され、大まかな分別しか行われてきませんでした。純度の低い回収金属は、自動車やエアコンなど高い品質が求められる部材への再利用が困難でしたが、今後は熱交換器などの部品ごとに細かく分別し、専門業者が鉄や銅を高純度で取り出します。
ダイキンの試算によれば、量産型の小型機1台あたり約63キログラムのリサイクル可能な金属スクラップや樹脂が回収可能で、そのうちアルミは約7キログラム、銅は約8キログラムに上ります。仮に年間30万台をリサイクルルートに乗せられれば、アルミで2000トン、銅で2300トンという莫大な資源が単純計算で回収できる見込みです。
事業を推進する伊藤忠メタルズは、すでに全国のコンビニエンスストアにおける陳列棚や冷蔵ケースなどの回収および整備事業を行っており、協力会社570社からなる収集運搬網と全国22カ所の整備拠点を有しています。今後はこの強固な広域ネットワークや、独自のシステムを用いたトレーサビリティ管理をエアコンのリサイクルにもフル活用し、将来的にはコンビニの空調機など、ダイキン以外の他社製品にも対象を広げていく目標を掲げています。
法改正を追い風に資源循環モデルを確立し、政府の再生材目標に貢献
今回の取り組みを後押しするのが、新たに導入される国の認定制度です。従来、広域での廃棄物回収には各自治体で産廃処理事業者としての許可がそれぞれ必要でしたが、25年11月からは特例として、認定を受けた事業者であればこの許可が不要となります。伊藤忠商事などは現在、この認定取得に向けた作業を急ピッチで進めています。
財務省貿易統計によれば、25年における日本のアルミニウム地金の輸入量は211万トンに達し、そのうちの3割にあたる58万トンを中東由来に依存しています。一方、政府は4月に公表した方針で、30年時点の再生材供給目標として、自動車向けアルミ展伸材の国内生産の4割、銅の国内生産の3割を再生資源由来とするという高いハードルを設定しました。
中東への資源依存リスクが高まる中、製造業者とリサイクル業者が一体となって国内の資源循環網を再構築する今回の動静脈連携は、日本の産業界が直面する構造的課題を解決する重要な試金石となることが予想されます。










-280x210.jpg)

-300x169.jpg)