
7月15日のニューヨーク株式市場において、実業家のイーロン・マスク氏が率いる米国の宇宙開発企業、スペースXの株価が急落し、一時132ドル台の安値をつける局面がありました。これは、同社が6月12日に米ナスダック市場へ新規株式公開(IPO)した際に設定された公開価格である135ドルを初めて下回る水準となります。同社は上場時に過去最大規模となる約857億ドル(約13兆9千億円)の資金を調達し、6月16日には一時225ドル台の最高値を記録するなど、市場から圧倒的な熱狂を集めていました。しかし、上場からわずか1カ月あまりでその勢いは急速に失速し、4営業日続落した結果、15日の終値は135.27ドルで取引を終えました。これにより、IPOの公開価格で株を購入し保有し続けている投資家は、一時的に含み損を抱える厳しい事態に直面しています。
市場関係者の間では、赤字が継続している同社の企業価値評価に対して、以前から割高であるとの指摘がなされていました。一部メディアの報道によれば、上場直後に人工知能関連企業を600億ドル相当の全株式交換で買収する計画を発表したことや、それに伴う巨額の設備投資による累積赤字の拡大が、投資家の警戒感を強める大きな要因となっています。同社の2025年売上高見通しに対して、評価額がおよそ90倍から100倍に達しており、この高すぎるバリュエーションが果たして維持可能なのかという根本的な再検討が市場で行われている模様です。
加えて、株式の需給バランスに関する構造的な課題も浮き彫りになっています。専門家の指摘によると、同社の発行済株式のうち約95%から96%が売却制限の対象となっており、市場で実際に取引可能な浮動株はわずか4~5%にとどまっています。このため、未公開企業時代から出資していた初期投資家が利益確定のためのまとまった売りを出しただけで、通常の銘柄よりも株価が大きく下振れしやすい脆弱な需給構造となっていると報じられています。
このような複合的な要因から、上場直後の大型IPOをめぐる熱狂はすっかり冷え込み、投機的な買い持ちが解消されるとともに、冷静に企業価値と将来の収益性を見極めようとする動きが強まっています。
次世代ロケットの試験飛行に集まる期待と今後の展望
株価が公開価格を割り込む厳しい状況の中、市場の視線は同社が予定している次なる技術的マイルストーンに集中しています。7月16日(日本時間17日)には、次世代の深宇宙探査や衛星通信網の構築を担う巨大新型ロケット「スターシップ」による、13回目の試験飛行が実施される予定です。この試験では、最新型である「ヴァージョン3」の機体が使用され、軌道投入に近い速度へ加速した後、宇宙空間でのエンジン再点火や、改良型のスターリンク衛星20基の放出といった重要な実証実験が行われます。
一部の個人投資家からは「将来の成長性を考えれば現在の株価は一時的な調整に過ぎない」と強気な見方がある一方で、「今後のロックアップ解除でさらに売り圧力が強まるのではないか」と慎重な意見も交錯しています。今回の試験飛行が完全再使用の実現や初の軌道到達に向けた大きな一歩となれば、冷え込んだ投資家心理を改善させる強力な起爆剤となる可能性があります。同社が巨額の先行投資に見合う将来の収益化への道筋を明確に示し、再び市場からの信頼を勝ち取れるのか、今後の動向が強く注視されています。








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