
米宇宙開発企業スペースXは現地時間7月16日、大型宇宙船「スターシップ」の13回目となる試験飛行を実施する予定でしたが、打ち上げ直前にエンジン点火が自動停止し、試験は急遽延期となりました。
この打ち上げ中止の衝撃は金融市場にも波及し、同日の米国株式市場においてスペースXの株価は前日比3.08%安となる7月16日の終値131.11ドルまで急落しました。これにより、同社が米ナスダック市場へ6月12日に新規株式公開(IPO)を果たした際の公募価格である135ドルを、上場後初めて割り込む事態となりました。一部メディアの報道によれば、史上最大規模となる約857億ドルの資金調達を行って市場に登場しましたが、株価の失速に伴い、時価総額はピーク時と比較して約200兆円減少したとされています。
今回の飛行試験は、米テキサス州南部の施設から日本時間17日午前7時45分に予定されていました。しかし、カウントダウンがゼロに近づき、エンジン点火が開始されたリフトオフの直前に自動中止システムが作動しました。1段目の大型ブースターに搭載された33基のラプターエンジンのうち、姿勢制御を担う中心部の4基が始動に至らなかったことが原因とされています。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は自身のX(旧Twitter)にて、ラプターエンジン2基を交換し、来週前半にも打ち上げに再挑戦する可能性が高いとの見通しを示しています。
このミッションでは、実用機となる第3世代のスターリンク衛星20基を初めて搭載していました。最新衛星は宇宙空間で放出された後、レーザー通信を用いて通信網への接続を試み、約20分後に大気圏に再突入して燃え尽きる計画が組まれていました。今回の打ち上げ中止や株価の低迷が長引いた場合、今後の他の大型IPO(新規公開株)やテクノロジー企業の動向にも影響を与える可能性があると懸念されています。
巨額の開発費と次なる課題、完全再使用化への険しい道のり
スペースXは、「スターシップ」の完全再使用を実現させるために、これまでに150億ドル以上の巨額の開発資金を投じてきました。打ち上げのたびに宇宙船とブースターの両方を損傷なく地球へ帰還させ、再び宇宙へと飛行させるという画期的な構想ですが、これを完全に実現したロケットメーカーは未だ存在しません。
同社は、早ければ2028年にも宇宙飛行士を月面に着陸させる計画をめぐり、NASA(米航空宇宙局)と総額約40億ドル相当の契約を結んでいます。しかしながら、2026年5月に実施された前回の試験飛行でもエンジンの一部が予定より早く停止するなどの問題が発生しており、今回アボートを招いたエンジンの信頼性向上や、宇宙空間での燃料補給技術の確立など、実用化に向けた課題は依然として山積しています。市場が同社に対して強気な見方を維持し、次世代の宇宙開発を牽引し続けるためには、近日中に予定される再挑戦での成功と、その後の軌道飛行の実証が極めて重要不可欠なステップとなっています。












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