米カリフォルニア大学バークレー校ロースクールがAI依存から脱却へ 未来の法曹に「自ら考える力」を要求

米国の名門法科大学院であるカリフォルニア大学バークレー校ロースクールは、2026年の夏学期よりAIの利用を原則禁止とする独自の新方針を打ち出しました。この規則のもとでは、単位取得に関わるあらゆる課題や試験において、AIの介在がほぼ全面的に制限されます。
新方針による具体的な禁止事項として、まず論文の概念化(ブレインストーミング)から構成案の作成、下書き、他言語への翻訳、文法的な誤り等の編集作業に至るまで、思考・執筆プロセスを支援する目的でのAI使用を全面的に禁じています。また、試験状況においては、いかなる目的でのAI使用も全面禁止としています。さらに、課題や読み物、スライド、授業の録画データなどの授業資料を生成AIシステムへアップロードすることも禁じられています。例外として判例などの特定を目的とするリサーチでのAI使用は認められているものの、存在しない情報源を引用した場合は、禁止されているAI使用が行われたと見なされる厳しい規定となっています。
同校の常駐法学教授であるクリス・フーフナーグル氏は、生成AI(特にClaudeなど)の能力が急速に向上したことが、今回の抜本的な方針転換の背景にあると説明しています。以前の規則は主に盗用を防ぐことを目的としていましたが、新方針は将来の法曹に不可欠な「認知スキル」を保護することを目指しています。優れた法律実務には、技術を戦略的に活用しつつも、その成果物を批判的に評価し、倫理的義務を守る力が求められます。「思考することは、良い弁護士であることの必要条件である」という確固たる理念のもと、同校は学生に対し、自らの頭で可能な限り最高の論文を書き上げることを強く求めています。
学術界全体に広がるAI規制の波、未査読論文プラットフォームでも厳罰化へ
AI技術の成熟に伴い、学術活動の完全性を維持しようとする動きは、法学教育の現場にとどまらず学術界全体へと波及しています。
コンピュータサイエンス分野等で利用されるプレプリント・プラットフォームの「arXiv(アーカイブ)」は、AIが生成した粗雑な論文を防ぐための新たな行動規範を発表しました。同プラットフォームの部門責任者であるトーマス・G・ディータリッヒ氏によれば、生成AIによる明確な誤りを含んだ状態で論文を投稿した場合など、著者が内容を検証していない「議論の余地のない証拠」が見つかった場合、連名でarXivへの投稿が1年間禁止されるという新方針が示されています。
同プラットフォームは生成AIの利用自体を禁じているわけではありませんが、AIが出力した誤りや不適切な内容に対して、署名した著者が全責任を負うべきだと強調しています。法律実務であれ学術研究であれ、AIの出力結果を人間が責任を持って精査・評価するプロセスの重要性が、これまで以上に問われています。





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