歴史的円安が加速し一時1ドル=163円台へ急落 中東リスクと有事のドル買いが浮き彫りにする日本経済の課題

外国為替市場において記録的な円安が進んでいます。7月21日のニューヨーク外国為替市場や22日の東京外国為替市場では、円相場が一時1ドル=163円台まで下落しました。この水準は、プラザ合意の翌年である1986年12月以来、およそ39年7カ月ぶりのドル高水準となります。
今回の歴史的な円相場急落を牽引している最大の要因は、緊迫化する中東情勢です。米国とイランによる攻撃の応酬が続くなど、両国間の軍事衝突が激化するとの警戒感から、市場では安全資産とされるドルを買う「有事のドル買い」が急速に強まりました。さらに、中東地域の混乱を受けてニューヨーク市場の原油先物価格も一時1バレル=84.91ドルと約1カ月半ぶりの高値水準に達しています。エネルギー資源の多くを輸入に頼る日本にとって、原油価格の高騰は貿易収支のさらなる悪化を招く要因となり、実需を伴う円売りに拍車をかけています。実際に、先日発表された6月の貿易統計では2カ月連続の貿易赤字となっており、ファンダメンタルズの弱さが改めて市場で意識される結果となっています。
政府および日本銀行は急激な円安の進行を食い止めるため、4月末から5月にかけて総額11兆円を超える規模に上る大規模な為替介入を実施していました。介入直後は一時的に円高方向へ引き戻す効果を見せたものの、現在ではその効果はすでに帳消しとなっています。日米の金利差に加えて、地政学的リスクに伴う原油高という新たな悪材料が重なったことで、市場では介入前の水準を軽々と突破する投機的な動きが活発化しており、円の逃避売りが止まらない深刻な状況に陥っています。
財務相は「断固たる対応」を強調するも再介入への市場の警戒感と今後の展望
止まらない円相場の急落を受け、市場の関心は政府・日銀による再度の為替介入に向けられています。片山さつき財務大臣は7月22日午前、記者団の取材に対し「米国とイランの状況がここまで悪化するとは世界中が予測していないので非常に苦しい状況だ」と述べ、中東情勢の想定外の悪化が為替相場に与える影響の大きさを率直に認める発言を行いました。
その上で、片山財務相は今後の対応について「我々の方針は全く変わっていない。必要があればいつでも適切に断固たる対応をする」と力強く強調し、投機的な動きに対して強い牽制を行いました。しかしながら、政府が再び巨額の円買い介入に動いたとしても、中東リスクや恒常的な貿易赤字といった構造的な円売り要因を抜本的に解決することは難しく、当面はボラティリティの高い神経質な市場展開が続くとの見方が大勢を占めています。












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