国産小型ロケット「イプシロンS」第2段エンジンの燃焼試験が正常終了、次世代宇宙輸送の確立へ向けて前進

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、7月23日の午前9時ごろ、鹿児島県南種子町に位置する種子島宇宙センターにおいて、開発中の次世代小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の第2段エンジンの地上燃焼試験を実施しました。この試験は事前の計画通り約130秒間(約2分間)にわたって行われ、勢いよく赤い炎と大きな白煙が遠方の展望台からも確認される中、一切の異常なく正常に終了しました。
「イプシロンS」は、世界的にも急増している小型衛星の打ち上げ需要を確実に取り込むため、国際競争力の強化を目的として開発が進められている日本の重要な基幹ロケットです。しかし、当初搭載する予定であった新規開発の新型エンジンは、2023年および2024年の過去2度にわたり燃焼試験中に爆発事故を起こしており、プロジェクト全体が長期の停滞を余儀なくされていました。
この深刻な事態を打開するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は確実な運用再開を最優先とし、過去に安定した打ち上げ実績を持つ旧型エンジンをベースに、入手困難となった原材料を代替品に変更するなどの改良を加えたモータ「M-35a」へと方針を転換する決断を下しました。
具体的には、2023年に新型第2段エンジンの燃焼試験で爆発事故が発生した後、原因究明と安全性の見直しが行われましたが、2024年の再試験においても2度目の爆発が起きたため、新規開発を一時見送り、実績ある旧型の改良版への切り替えが決定されました。そして7月23日、この改良型旧エンジンによる地上燃焼試験が正常に終了したことは、単なる一つの地上試験の成功にとどまらず、開発における最大の技術的ボトルネックが解消されたことを意味します。これにより、機体全体の最終的な統合プロセスへと移行することが可能となり、早期の打ち上げ再開に向けた極めて重要なマイルストーンを達成したと評価できます。
復活への大きな一歩を踏み出したJAXA、今年度中の実証機打ち上げへ向けた今後の課題
燃焼試験が無事に終了したことを受け、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今後約2カ月ほどの期間を設け、収集された温度変化や部品のひずみといった詳細なデータを徹底的に解析する方針です。また、取得されたデータに基づく検証だけでなく、必要に応じてエンジン内部を切断して状態を直接確認するなど、中まで徹底的に調べることで最終的な安全性の担保と成否の判定を行います。
プロジェクトを牽引する井元隆行マネージャは、試験後の取材に対し「最大のステップだったので正常に終了できてほっとした」と安堵の表情を見せ、ロケット復活への大きな推進力になったと振り返りました。同時に、「地上で試験を成功させるだけではダメで、まずは実証機の打ち上げ。実証機の成功が悲願」とコメントしており、決して歩みを止めることなく次を見据えて気を引き締めています。
大型液体燃料ロケット「H3」と並んで日本の宇宙開発戦略の中核を担う「イプシロンS」は、今回の試験結果の分析を急ピッチで進め、2026年度中の初飛行(実証機打ち上げ)を目指します。自律点検機能などを備えたコスト競争力の高いこのロケットが完成すれば、急拡大する世界の小型衛星市場において、日本が優位な地位を築くための強力な切り札となることが期待されています。












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