
生成AI開発企業アンソロピックが、著作権侵害を巡る集団訴訟で15億ドル(約2400億円)の支払いに応じることになりました。米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所が7月20日、和解案を最終承認したものです。米国の著作権侵害訴訟としては過去最大級の金額とみられています。
この訴訟は2024年8月、小説家のアンドレア・バーツ氏やチャールズ・グレーバー氏らが中心となって提起しました。原告側は、アンソロピックが対話型AI「Claude」の開発にあたり、「Library Genesis(LibGen)」や「Pirate Library Mirror(PiLiMi)」といった海賊版データベースから無断で書籍を複製・保持し、学習データとして利用したと主張していました。
本訴訟では2025年6月、購入した書籍のデジタル化とAI学習自体はフェアユース(公正利用)にあたると判断された一方、海賊版由来の書籍の保持は違法と判断されています。
今回の和解では、対象となる48万点以上の著作物について、1作品あたり約3130ドルが支払われます。支払いは著者と出版社で原則50%ずつ折半され、著者が単独で権利を持つ場合は全額を受け取る仕組みです。
対象作品のうち約93%にあたる44万490点について、有効な申請が受理されました。「ハリー・ポッター」シリーズの出版元である英ブルームズベリーも、対象書籍約1万4千冊分の和解金を受け取ると明らかにしました。
一方、和解の効力は過去のデータ取得や学習行為に限定されており、将来のAI開発や生成物の利用は対象外です。今後新たな著作権侵害が確認された場合、作家側は改めて提訴できる権利を保持しています。
生成AIの普及に伴い、学習データの適法性を巡る議論は世界的な広がりを見せている状況です。日本でもAIと著作権の関係を巡る議論が進み、制度整備の必要性が検討されています。
個別提訴と国際的なルール形成の行方
和解の枠組みに参加せず、個別に司法判断を求める作家もいます。アンジー・クルーズ氏やデイヴ・エガーズ氏ら28人は、個別に新たな訴訟を提起しました。さらに、トーマス・ウィリアム・シェイクスピア氏ら100人の著作権者による共同訴訟も起こされています。
この訴訟では、故意の権利侵害が認められた場合の法定損害賠償として最大7140万ドルの支払いや、Claudeの提供差し止めが求められています。
基金からは弁護士報酬として約1億156万ドル、基金全体の約6.8%が充てられる予定です。今回の和解によって一定の整理は進みましたが、AI開発と著作権保護のバランスが確立されていない現状を浮き彫りにしました。革新技術を推進しつつ創作者の権利をどう守るかは、国際的な制度設計における重要な課題であり続けます。


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