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欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会は7月17日、気候変動対策の要である二酸化炭素(CO2)の排出量取引制度(ETS)に関する抜本的な改革案を発表しました。今回の見直しは、環境保護の理想と、厳しい国際競争に直面する欧州産業界の現実的な負担軽減を両立させる狙いがあります。
新たな改革案では、2040年までに温室効果ガスを1990年比で実質90%削減するという野心的な全体目標は維持されます。しかし、対象企業に義務付けている排出枠の削減ペースについては、産業界の時間的猶予を確保するために大幅な緩和措置が取られます。
具体的には、現在4.3%に設定されている排出枠の年間削減率を段階的に引き下げます。2031年から2035年にかけては約3.7%に縮小し、さらに2036年から2040年にかけては1.7%へと大幅に緩和される予定です。この措置により、企業は2040年代まで脱炭素化に向けた柔軟な対応が可能となります。長引くエネルギー価格の高騰や、安価な製品を大量に供給する新興国との競争激化を受け、規制の緩い他地域へ生産拠点が移転してしまう炭素リーケージを防ぐ効果が期待されています。
一方で、企業に一定の排出枠を無料で与える無償割り当て制度は維持されるものの、その条件は一段と厳格化されます。具体的には、排出枠の付与分に見合う金額をEU域内での脱炭素投資に充てることが企業に求められ、域内のグリーン産業育成を確実なものとする仕組みに変更されます。さらに、ETSの適用範囲はこれまで対象外だった分野にも広く拡大され、一部の国際的な航空線や小型船舶、そして都市部のごみ焼却施設などが新たに加わることになります。
また、欧州委員会はこれらの規制見直しと並行して、総額1000億ユーロ(約18兆6000億円)規模に上る強力な資金支援制度を新たに創設すると発表しました。この巨額の資金は、域内工場の電化推進や次世代クリーン技術の導入など、産業界の脱炭素化へ向けた積極的な設備投資を後押しするために活用される予定です。
エンジン車販売に関する規制見直しの議論と国内メーカーへの影響
今回の排出量取引制度(ETS)の緩和に見られるようなEUの現実的な軌道修正は、自動車産業に対する環境政策にも明確に表れています。EUは当初、2035年以降のエンジン搭載車の新車販売を事実上禁止する方針を掲げていました。しかし現在、ドイツ政府の主導により、この厳格な禁止措置の見直しが検討されています。
新たな方針では、合成燃料などを活用することを条件として、2035年以降もエンジン車の販売を容認する方向で議論が進んでおり、プラグインハイブリッド車(PHV)の継続販売を認める声も上がっています。こうした動きの背景には国際競争の激化があり、EUは製造業および供給網の強化を目指す新法案の検討など、産業保護を重視する姿勢を見せています。
こうした一連の規制見直しは、内燃機関やハイブリッド技術に強みを持つ日本の自動車メーカーにとって、追い風になる可能性があると指摘されています。












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