
7月24日夜、首都直下地震などの大災害に備え、東京都に集中する首都中枢機能を他の地域で代替可能とする「副首都構想」の関連法案が、参議院本会議にて可決・成立しました。採決における投票総数は244票で、賛成123票、反対121票というわずか2票差の大接戦となりました。自由民主党、日本維新の会、チームみらいなどの賛成多数により法案は成立し、これを以て政府提出の64本の法案がすべて成立した第221特別国会は事実上閉会しました。なお、2月8日投開票の衆院選を受けて召集された今回の特別国会は、会期が158日間という異例の長さとなりました。
本法律は、有事における国家の統治機能維持を目的とするバックアップ拠点の整備と、人口および経済機能の東京一極集中を是正し、「多極分散型経済圏」を形成することを主要な柱としています。具体的には、大規模災害時に東京都以外の道府県へ中枢機能を一時移転して首都機能を代替させることや、過度な集中を防ぐことが狙いとして定められています。また、副首都の指定要件の焦点として、日本維新の会が掲げる「特別区の設置」が要件に含まれる見通しとなっています。この成立を受け、北海道の鈴木直道知事が24日の定例記者会見において、 「北海道と札幌市は首都機能を補完、代替する副首都として適地だ」と名乗りを上げるなど、早くも各自治体の動きが活発化しています。
一方で、法案の国会審議は極めて難航しました。野党側は、この法整備が日本維新の会の看板政策である「大阪都構想」を実現するための我田引水的な布石であると強く反発しました。特に、副首都指定を目指す自治体で実施が見込まれる特別区設置を問う住民投票について、人を選ぶ通常の地方選挙と同日に実施されれば、有権者の判断に重大な混乱を招くと危惧しました。
そのため野党側は、法案採決に応じる絶対条件として、住民投票と関係する自治体選挙の同日実施を明確に禁止する内容を付帯決議に盛り込むよう要求しました。自由民主党と立憲民主党の国会対策委員長間で断続的な協議が行われた結果、最終的に住民投票と地方選挙の期間が「重複しないように最大限調整する」との文言を明記することで与野党が合意に至り、採決が行われました。
大阪都構想の住民投票を巡る吉村知事の意欲と維新が抱える党内課題
今回の法案成立は日本維新の会にとって政策的な大きな前進となりましたが、党内の足元は激しく揺れ動いています。日本維新の会の代表を務める吉村洋文・大阪府知事は、自身の任期満了となる2027年4月までに、3回目となる大阪都構想の住民投票を実施することを目指しています。
しかし、国会において選挙期間の「重複回避」を求める付帯決議が採択されたことで、統一地方選挙などと住民投票を同日に実施して投票率を上げるというシナリオの構築は極めて困難な状況に陥りました。
さらに、住民投票の早期実施に固執する吉村洋文氏に対し、日本維新の会の国会議員団からの反発の声も広がっており、党内の深刻な温度差が浮き彫りになっています。国家の防災力強化を掲げた「副首都」法制化という大義名分の裏側で、党の看板政策への再挑戦を巡る思惑と政治的制約が複雑に絡み合っており、制度実現に向けた具体的な行程は今後も不透明な状況が続く見通しです。
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