
鹿児島県内でシラスウナギの漁獲が不安定に推移する中、医薬品開発などを手がける新日本科学が沖永良部島で完全養殖ウナギの稚魚を大量生産する体制を整えました。天然資源に頼らない供給網づくりを進め、5年以内に年間100万匹の生産を目指します 。
県内のシラスウナギ漁獲量は、この10年で大きく増減しています。昨シーズンは2年連続で1トンを超える豊漁となった一方、極端に少ない年もあり、安定供給が課題となってきました 。こうした背景から、人工的に稚魚をつくる完全養殖への期待が高まっています 。
新日本科学の施設は、沖永良部島・和泊町にあり、昨年完成しました。1万匹の稚魚を飼育できる水槽など、独自のシステムを備えています 。同社は2014年から研究を始め、2017年には世界で初めて陸上でのシラスウナギ生産に成功したとしています 。
沖永良部島に拠点を置いた理由について、永田良一会長は、冬場でも海水が冷えにくく、加温コストを抑えられる点を挙げています 。天然海水を活用できる環境は、年間を通じた生産の安定化にもつながるとみられます 。
生産拡大への課題
ただ、完全養殖の商業化にはまだ課題もあります。新日本科学は、今後5年以内に年間100万匹を生産する目標を掲げていますが、安定した大量生産には飼育技術や餌の改良が欠かせません 。同社はこれまでも生存率の向上に取り組んでおり、研究段階から事業化への移行が焦点になります 。
永田会長は「天然が獲れなくなる方向に行っている」と危機感を示し、日本のウナギ文化を守るには消費量に見合う生産体制が必要だと強調しています 。天然シラスウナギの変動が続くなか、鹿児島発の完全養殖がどこまで実用化に近づくか、今後も注目されます 。



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