
2027年度から希望者が毎年、歯科健診を受けられる「国民皆歯科検診」の実現に向け、厚生労働省は23日、健康寿命の延伸を目指す「攻めの予防医療」の重点施策を示しました。歯周病検診の対象を現在の10歳刻みから5歳刻みに広げる方針も盛り込み、予防を医療政策の柱に据え、発症や重症化の防止につながる仕組みづくりを進める考えです。
特に口腔の健康は全身状態とも関わるため、歯科保健の底上げを通じて健康寿命の延伸につなげる狙いがあります。今回の方針は、27年度予算の概算要求にも反映される見通しです。生活習慣や受診行動を見直す機会が増えることで、国民全体の健康意識を高める狙いもあります。
上野賢一郎厚労相は「良い健康習慣を継続してもらえるよう取り組みたい」と述べました。厚労省は、栄養・食生活、がん・循環器病、歯科保健、認知症、リハビリテーション、性差に由来するヘルスケアの6分野を重点領域に位置づけています。
これらは高齢化が進むなかで、医療と介護の負担を抑えるうえでも重要なテーマです。施策は単独の制度改正ではなく、複数分野を横断して進める構成となっています。受診機会の拡大と、日常生活に根差した予防行動の定着を同時に狙う形です。
歯科保健では、歯周病の患者数が1135万人を超えるとされる実情を踏まえ、検診対象を拡大するとともに、希望者が唾液などによる簡易検査を毎年受けられる仕組みも整えます。歯周病の可能性を早めに把握し、受診につなげる狙いです。
2026年度はまず8万人を対象に一部自治体で支援を開始し、2028年度には全自治体での実施を目指しています。厚労省の資料でも、生涯を通じた歯科健診の充実が重要な課題として示されています。こうした取り組みは、自治体や職域を含めて受診のすき間を埋める施策として注目されており、今後は自治体の体制整備をどう後押しするかも課題になりそうです。
がん検診も底上げ
重点施策には、がん検診の受診率を2028年度までに60%へ引き上げる目標も盛り込まれました。生活習慣病対策では、2026年度中に「食事ガイド」を作成し、予防を意識した食生活の普及を進めます。
認知症分野では、新たな検査技術を活用した早期診断・対応の推進を掲げました。性差に由来するヘルスケアでは、更年期世代の女性向けに医師向けの初のガイダンスを作成するほか、不調を抱える女性が使えるツールの開発も進める方針です。がん検診では、未受診の原因を調べたうえで受診を勧める取り組みも進めるとしています。
厚労省は、歯科と医科の連携を含めて予防を社会全体に広げることで、重症化を防ぎ医療費の抑制にもつなげたい考えです。国民皆歯科検診の実現に向けた土台づくりとして、今後は制度設計や周知のあり方が焦点になりそうです。












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