
ブログサービスを運営するIT企業「はてな」(京都市)は、警察官を名乗る詐欺グループによる特殊詐欺被害で、会社資金11億8000万円が社外口座へ流出したとする特別調査委員会の報告書を公表しました。被害の発端は、経理部長の私用携帯電話にかかってきた1本の電話でした。詐欺グループは「大規模な資金洗浄の捜査を進めている」と告げ、捜査協力を装って操作を誘導したとされます。
報告書によると、経理部長は警察からの依頼だと信じ込み、指示に従って遠隔操作が可能なアプリを会社のパソコンにダウンロードしました。その結果、詐欺グループはアプリを利用してオンラインバンキングを操作し、会社口座から不正送金を重ねたとみられます。被害総額は11億8000万円に上り、企業の資金管理に大きな穴があったことが浮き彫りになりました。
はてなは4月に資金流出事案の発生を公表していましたが、今回の調査で、経理担当者による横領ではなく、外部グループによる特殊詐欺だったことが明確になりました。個人情報や顧客情報の流出は、現時点で基本的には確認されていないとしています。企業の信用を揺るがす事案となった一方、利用者への情報漏えいが広がらなかった点は、一定の救いともいえます。
経営責任と再発防止
はてなは経営責任を明確にするとして、栗栖義臣社長ら役員2人が月額報酬の20%を6か月間返上すると発表しました。加えて、出金手続きの決裁権限の見直しや、送金時の確認体制の強化、遠隔操作ソフトへの警戒を高める社内教育など、再発防止策の検討を進める方針です。特別調査委員会も、単なる個人の判断ミスではなく、組織として不正送金を止める仕組みが十分ではなかったと指摘しています。
今回の事案は、警察や金融機関を装った手口が、企業の経理担当者を通じて巨額の資金を奪う現実的なリスクを示しました。特に、電話による心理的圧力と遠隔操作アプリの組み合わせは、見抜くことが難しい点が特徴です。企業側には、権限の分散、複数人による送金確認、外部からの指示を鵜呑みにしない運用の徹底が求められます。被害の大きさは、特殊詐欺が個人だけでなく法人にも深刻な損失を与え得ることを改めて示しています。












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