
米国の金融市場において、日本の半導体大手であるキオクシアホールディングスの株式を対象とする個別株レバレッジ型上場投資信託(レバETF)の上場計画が進行しており、市場関係者の間で波紋を呼んでいます。米証券取引委員会(SEC)の公開資料によれば、同社株や米国預託証券(ADR)の日次騰落率に対して2倍やマイナス2倍の値動きを目指すファンドが、少なくとも9本の登録申請を行っています。これが実現した場合、日本企業に連動する初めての個別株レバETFが誕生することになります。
世界的な株高を背景に、個別株レバETFの市場は44兆円規模にまで拡大していますが、これには「値動きの増幅」という構造的なリスクが伴います。30営業日の騰落率を基にした年率換算後のボラティリティー指標を見ると、米S&P500種株価指数の13%や香港ハンセン指数の22%に対し、日経平均株価は約38%、韓国総合株価指数は70%を超えるなど、アジア市場のボラティリティーは米国と比較して非常に高い水準にあります。
レバETFは日々の目標倍率を維持するため、保有資産の機械的な売買(リバランス)を毎日行う必要があります。この取引規模が市場に推測されることで、ヘッジファンドなどが先回りして売買を行い、価格変動がさらに激化する構造となっています。
東京証券取引所では現在、個別株レバETFの上場を認めていませんが、日本の投資家もオンライン証券経由で米国市場の商品へ容易にアクセスできるため、国内株価への波及は避けられません。特にキオクシア株は6月の高値から1カ月弱で半値に急落するなど値動きが激しく、警戒が強まっています。さらに、同社がソフトバンクグループや任天堂などのETFを準備しているほか、別の運用会社も東京エレクトロンなどを対象としたETFの準備を進めており、影響範囲の拡大が懸念されています。
韓国の規制前倒しとキオクシア株急落が示す今後のリスク
レバETFが相場に与える歪みについては、韓国での事例が大きな教訓となっています。韓国市場では、サムスン電子やSKハイニックスといった半導体主力銘柄を対象にしたレバETFへの資金流入が急増した結果、市場全体のボラティリティーが極端に高まりました。この事態を重く見た韓国の金融当局は、新規上場を停止するだけでなく、規制の導入時期を当初予定から7月31日へと前倒しすることを決定しました。これにより、投資家には3000万ウォンという高額な預託金が義務付けられます。
この韓国当局による厳格な規制前倒しの報道は、直ちに日本の株式市場にも連鎖的な影響を及ぼしました。規制強化によって韓国の半導体銘柄への投資資金が細り、株価が下落すれば、同業であるキオクシアホールディングスの株価も引きずられて「ツレ安」を引き起こすとの警戒感が広がったためです。事実、7月24日の取引において同社株は一時10%を超える急落に見舞われました。今後、米国で日本株を対象としたレバETFの運用が本格化すれば、同様のボラティリティー増幅リスクが日本市場を直接的に襲う可能性があり、市場環境は新たな転換点を迎えています。












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