
2026年3月16日、沖縄県名護市の辺野古沖で、平和学習の一環として同志社国際高校の生徒18人らが分乗した小型船2隻が転覆し、同校2年生の武石知華さん(当時17歳)と「不屈」船長の金井創さん(当時71歳)の計2人が死亡した海難事故について、新たな進展がありました。亡くなった女子生徒の遺族側が、学校関係者や運航団体の代表ら合計11人を業務上過失致死傷などの疑いで、中城海上保安部に刑事告訴したことが関係者への取材で明らかになりました。同保安部はこの告訴状を正式に受理し、捜査が新たな段階に入っています。
告訴の対象となった計11人の内訳は、学校関係者が同志社国際高校の校長、当時の学年主任、引率教員らの計4人、そして運航関係者が転覆した船「平和丸」などを運航していた市民団体「ヘリ基地反対協議会」の共同代表らや各船長を含む計7人です。遺族側は、7月10日に告訴状を発送し、7月13日に受理されました。遺族側の主張によれば、事故現場である米軍普天間飛行場の移設工事が進む海域は危険性が高いにもかかわらず、学校側が事前の十分な調査や下見を怠っていたとしています。また、生徒を船に乗せる際における安全確保の計画が極めて不十分であり、必要な注意義務を怠ったことが悲惨な事故につながったと強く指摘しています。
この告訴を受け、第11管区海上保安本部は7月25日、業務上過失致死傷容疑などで同志社国際高校への家宅捜索を実施し、修学旅行の計画書などの関係資料を押収しました。学校法人同志社は7月28日にこの事実を公表し、「事態を厳粛に受け止め、当局の要請に全面的に協力してまいります。関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます」との謝罪コメントを出しました。海上保安庁は今後、押収した資料を詳細に分析し、学校側の刑事責任の有無を含めた実態解明を本格的に進める方針です。
重なる安全管理の不備と遺族の不安、行政も法令違反を指摘
遺族が刑事告訴に踏み切った背景には、深い悲しみとともに、事故の責任の所在が曖昧になることへの強い危機感がありました。遺族はメディアの取材に対し、「学校側が捜査対象にならず、刑事責任の有無が検討されないまま捜査が終結してしまうのではないかという不安があった」と胸の内を明かしています。実際に、引率教員は波浪注意報が出されていたにもかかわらず船に同乗しておらず、現場での判断を外部の運航者に丸投げしていた実態が各所の調査により浮き彫りになっています。
こうした事態を受け、行政機関も相次いで厳しい措置を講じています。5月22日には文部科学省が、学校側の安全管理体制を「著しく不適切」と断じたうえで、特定の政治的見解に偏った学習内容が教育基本法14条に違反すると初めて認定し、是正を求める指導通知を出しました。さらに国土交通省も、転覆した船が海上運送法で義務付けられた事業登録を行っていなかった違法状態を重く見て、死亡した船長を刑事告発する方針を示しています。学校側の安全管理体制や法令違反が行政から厳しく指摘される中、海上保安庁などによる今後の全容解明が待たれます。












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