
熊本県で最大震度7を観測した強烈な地震の発生に伴い、九州エリアに集積する主要産業のサプライチェーンへ深刻な影響が広がりを見せています。ハイテク分野の基幹部材を製造する主要工場で稼働停止が相次いでおり、経済活動全体の停滞が心配されています。ソニーグループ傘下で画像センサーを手掛けるソニーセミコンダクタソリューションズは、地震直後に熊本県菊陽町の工場稼働をストップしました。同拠点では主に車載向けや産業機器向けの画像センサーを生産しており、2016年の熊本地震の際には全工程の再開までに3カ月の期間を要した経緯があります。
また、車載用半導体大手のルネサスエレクトロニクスも、熊本市の川尻工場および熊本県錦町の錦工場において、地震が発生した28日から操業を休止しています。両施設では壁面の亀裂や漏水などの損傷が認められたものの、半導体製造の基盤となるクリーンルームの環境自体は保たれている状況です。
製造現場のみならず、物流を支えるインフラ基盤の損壊も重大な問題となっています。国土交通省などの公表によると、熊本県八代市にある八代港で地盤の液状化や陥没が確認されました。八代市によれば、同港は南九州地域で唯一、半導体生産に必要な高圧ガスや化学薬品などの危険物を取り扱い可能な港湾拠点です。現地で物流業務を行うNIPPON EXPRESSホールディングスは、敷地内の亀裂や段差の発生を報告しており、影響の長期化に対して危機感を募らせています。一方、交通インフラでは29日始発から全線運休していた九州新幹線が、同日夕方から福岡市の博多と福岡県筑後市の筑後船小屋の間で一部運転を再開しました。
自動車産業と飲料製造にも波及する操業停止と長期リスク
自動車メーカーへの影響も急速に拡大しています。トヨタ自動車は、高級車ブランド「レクサス」を生産する福岡県宮若市の宮田工場のほか、北九州市の小倉工場、福岡県苅田町の苅田工場の計3工場の稼働を29日夕方から31日まで停止することを決定しました。背景には、ドア部品を供給するアイシンの子会社であるアイシン九州(熊本市)が被災し操業を停止している点があり、復旧のめどは立っていません。2016年の震災では同社の被災によりトヨタの国内生産の約9割が一時ストップした経緯があります。
さらに食品業界では、サントリーホールディングスがビールや飲料水を製造する熊本県嘉島町の九州熊本工場の稼働を休止させ、他工場での代替生産の検討に入りました。同工場は2016年にも被災し、正常化まで約1年半を要して約100億円の被害を出しただけに、今後の影響が注視されています。












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