
7月29日のニューヨーク株式市場は、アメリカとイラン間の軍事的な緊張が引き金となり、投資家の間にリスク回避の動きが急速に広がりました。ダウ工業株30種平均の終値は前営業日から1153ドル18セント下落し、5万1594ドル14セントとなりました。1000ドルを上回る記録的な急落は、関税政策を巡って市場が揺れた2025年4月以来の規模です。
相場急落の背景には、イランによるアメリカ軍部隊へのミサイル攻撃に対し、トランプ大統領が報復攻撃を行う意向を示したことが挙げられます。これにより中東地域における地政学リスクが一気に高まり、幅広い銘柄で売り注文が殺到しました。
また、この情勢悪化を受けてニューヨーク原油先物市場では、指標となるテキサス産軽質油(WTI)の9月渡し価格が前日比6.6%高の1バレル=84ドル46セントまで急伸しました。エネルギー価格の急騰は、国内のインフレ(物価上昇)を再び加速させるとの強い懸念につながっています。
IT企業の比率が高いナスダック総合指数も433.97ポイント安の2万4442.94で引け、6営業日連続の下落を記録するなど、主要な各指標が軒並み大きく落ち込みました。この歴史的な株安は、中東情勢の悪化に伴う燃料価格の急騰が、国内のインフレ(物価上昇)を高止まりさせることへの強い警戒感を示しています。投資家は成長資産である株式を手放し、資金をより安全な資産へと避難させる動きを加速させており、事態の収束が見通せない中で市場の不安定な状態は当面続くと予想されます。
物価高止まりと政策金利据え置きが招いた金融市場の動揺
株式市場の売り注文に拍車を掛けたもう一つの要因が、アメリカの金融政策への不透明感です。中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は29日のFOMC(連邦公開市場委員会)にて、5会合連続となる政策金利の据え置きを発表し、誘導目標を3.50~3.75%に維持しました。
しかし、インフレの高止まりを懸念して、投票権を持つ12人中3人のメンバーが0.25%の利上げを主張し反対票を投じたことが、市場に大きな衝撃を与えました。ウォーシュ議長も会見で追加の引き締めに含みを持たせたため、今後の利上げへの警戒感から長期金利が上昇しました。これに対しトランプ大統領は、「政治的な理事会が金利を高く維持しようとしている」と述べ、FRBの対応を批判したと報じられています。中東の地政学リスクと、相反するインフレ抑制に向けた金融引き締め懸念という二重の悪材料が重なったことが、今回の歴史的な株価急落を招く決定打となりました。



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