
日立製作所は29日、2027年3月期の連結純利益が前期比12.2%増の9000億円になる見通しだと発表しました。従来予想の8500億円から500億円上方修正し、事前の市場予想も上回りました。通期の純利益は9000億円と、2年連続で最高益を更新する見通しです。
売上収益は11.0%増の11兆7000億円、調整後営業利益は17.4%増の1兆4080億円を見込み、それぞれ上方修正しました。好調のけん引役は、インフラ更新やAI関連データセンター向け需要が伸びる送配電設備です。同社は為替の円安も増収増益に寄与すると説明しました。
データセンター向け送配電設備市場は、AI需要の拡大を背景に中長期で拡大基調が続く見通しです。特に、ハイパースケール型やAI対応データセンターでは高密度電力供給が必要になり、変圧器、開閉装置、遮断器、中電圧配電設備への需要が強まっています。一方で、機器の納期長期化や電力制約が供給面のボトルネックになりやすく、設備投資の前倒しと長期調達が進みそうです。
29日に公表した2026年4〜6月期連結決算は、売上収益が前年同期比20.0%増の2兆7095億円、純利益が1.4%減の1894億円でした。エナジー部門の受注高は1兆9063億円と前年同期比87%増で、モビリティ、DSS、CIの各部門でも受注が伸びました。
加藤知巳CFOは、受注残の消化でエナジーの利益率が上がるとの見方を示し、AI活用による生産効率向上にも意欲を示しました。一方で、株式市場では生成AIの普及でITサービスの内製化が進み、子会社グローバルロジックの事業機会が減るとの懸念も残っています。
事業別の見方
日立は国内IT分野の堅調さも背景に、さらなる成長余地があるとしています。加藤CFOは、AIによる生産性向上とM&Aなどの投資が進めば、売上収益5兆円が見えてくるとの認識を示しました。
SBI証券の鶴尾充伸シニアアナリストは、外部に開放されないデータをもとにAIソリューションを提供できる点が日立の強みになるとみています。事業環境は総じて良好ですが、AI需要を確実な収益拡大につなげられるかが、今後の評価を左右しそうです。市場の伸びをけん引するのは、AIデータセンターの新設・増設と、既存施設の更新需要です。
世界のデータセンター電力インフラ市場は2035年に1081億米ドル規模まで拡大するとの予測があり、配電機器やバックアップ電源を含む周辺投資も厚みを増すとみられます。
また、配電用変圧器市場や高電圧配電市場も高い成長率が見込まれており、送配電設備はAI関連インフラの「電力の入口」として存在感を強めています。日本企業にとっては、国内外のデータセンター向け案件を取り込めるかが、今後の収益機会を左右するポイントになりそうです。












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