円相場が一時157円台へ急騰、政府・日銀の覆面介入と米当局によるレートチェックの舞台裏

7月30日のニューヨーク外国為替市場では、円買い・ドル売りの動きが急速に加速し、円相場は一時1ドル=157円台後半まで急伸しました。直前まで163円前後で推移していた相場が、わずかな時間で一気に5円近くも変動した背景には、日本政府および日本銀行による大規模な為替介入(覆面介入)が実施されたとの見方が市場で強まっています。この円高水準をつけるのは、約2カ月半ぶりのこととなります。
さらに、今回の急変動においては米国側の協力的な動きも確認されています。事情に詳しい市場関係者の証言によると、米国の通貨当局が金融機関に対して為替相場の水準を直接照会する「レートチェック」を実施したことが判明しました。これは実弾介入に向けた事前準備と位置付けられており、今年1月にも同様の措置が行われています。また、米国のベッセント財務長官は同日のメディア取材に対し、日本側による為替介入が行われた可能性を示唆しました。その上で「円は売られ過ぎている」との認識を示し、経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)が正当に反映されれば、いずれ自律的に円高が進むはずだとの強い見解を示しています。
こうした一連の急激な相場変動を振り返ると、30日のニューヨーク市場では急変前、日米金利差や中東情勢の悪化などを背景に円安・ドル高が進み、1ドル=163円前後で推移していました。しかし、政府・日銀による覆面介入や米通貨当局のレートチェック観測をきっかけに、急変後には157円台後半まで一気に円高が進行しました。一夜明けた31日午前の東京市場では、介入への警戒感が残りつつも利益確定の動きなどでドルが買い戻される展開となり、160円台後半で取引されています。
政府および日銀は、直近では4月28日から5月27日にかけても、月間ベースで過去最大規模となる総額11兆7000億円に上る円買い・ドル売り介入を行っています。しかしながら、その後の高市政権による積極財政路線への警戒感や、日米の金融政策の方向性の違いなどから、市場は再び円安基調に転じていました。今回の断固たる介入措置は、過度な相場変動に歯止めをかけ、市場の投機的な動きを日米連携で強く牽制する狙いがあると分析されています。
財務省の慎重姿勢と日銀決定会合前のサプライズ効果
一夜明けた31日朝、財務省内で報道陣の取材に応じた片山さつき財務相は、為替介入の有無について問われると「その点についてはお答えできない」と直接的な言及を避けつつも、「常に緊張感を持って対応している」と明言し、為替相場の動向に対する政府としての強い警戒感を示しました。また、実務のトップである三村淳財務官も具体的な介入事実へのコメントは差し控える一方で、米当局によるレートチェックなどの一連の支援に関して「米当局からは、単なる精神的支援を超える支援を得ていると認識している」と意義を強調しました。さらに米国当局と「間断なく連絡を取り合っている」と述べ、日米間で極めて密接な協調体制が敷かれていることを明かしています。
今回の為替介入において、市場関係者の意表を最も突いたのはその実施タイミングにあります。日銀は30日から31日の2日間にわたり金融政策決定会合を開催しており、通常であれば「介入に動くのであれば重要政策の決定後になるだろう」との観測が大半を占めていました。決定会合前というタイミングでの市場介入観測は市場の意表を突く形となり、投機筋に対するサプライズ効果を狙った可能性も指摘されています。












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