
国際サッカー連盟(FIFA)は7月31日、ワールドカップ(W杯)などの大会運営や商業活動を担う新会社「FIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)」の設立計画を撤回すると発表しました。ジャンニ・インファンティノ会長は同日、声明を発表し「あらゆる意見に耳を傾けた結果、このプロジェクトは支持の度合いに関わらず、当初の目的とは相容れない分裂を生み出してしまったことが明らかになった」と述べ、計画の断念を明らかにしました。
FIFAは7月28日、評価額200億ドル(約3兆2000億円)規模とされるFFEを新設し、株式の20%を外部の長期投資家に売却することで最大42億ドル(約6870億円)の資金を調達する構想を公表していました。調達した資金は加盟協会への支援や途上国のサッカー基盤整備に充てる狙いがあったとされています。しかし、W杯や放映権、スポンサー契約といった主要な商業事業を一元的に担うこの新会社に民間投資家が加わる仕組みに対し、「過剰な商業主義を招く」との批判が世界的に噴出しました。
反発の急先鋒となったのは欧州サッカー連盟(UEFA)です。UEFAは7月30日、計画が撤回されない限り加盟55協会すべてがW杯を含むFIFA主催大会への参加を見合わせることで一致したと発表し、「W杯は売り物ではない」と強く批判しました。北中米カリブ海連盟(CONCACAF)やアジア連盟(AFC)など他の大陸連盟からも同調する声が相次ぎ、FIFA内部でも異論が広がったことで、計画は公表からわずか3日という異例の早さで撤回に追い込まれました。
インファンティノ会長は声明で「私たちの目的は常に、そしてこれからも団結と向上にある」と強調し、サッカー界の分断修復を図る姿勢を示しました。UEFAはこの撤回発表を受けて「計画は加盟各国協会をはじめ、世界中の多くの連盟や連合会によって満場一致で否決された」との声明を出し、FIFAの方針転換を歓迎しています。
会長の求心力低下、来年の会長選にも影響か
今回の騒動では、独断専行との批判を浴びたインファンティノ会長の求心力低下も浮き彫りになりました。加盟211協会に対し巨額の配分金と引き換えに賛同を迫る進め方が反発を招き、日本サッカー協会出身のFIFA理事である田嶋幸三氏も拙速な進め方を批判して「反対」を表明したと伝えられています。FIFA内部でもシニアアドバイザーが計画への批判を理由に辞任したとの話もあり、組織内の亀裂の深さがうかがえます。
来年に予定されるFIFA会長選では再選が確実視されていたインファンティノ会長ですが、今回の一件で状況が一変したとの見方も出ています。FIFAは今後数日から数週間のうちに関係者を再び集め、支援を必要とする国々への新たな支援策について協議を進める方針を示しています。










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