ペルシャ湾海峡庁、ホルムズ海峡の通航「不可能」と発表 米軍の攻撃的動向を理由に

イラン政府がホルムズ海峡の通航を管理する目的で新設した「ペルシャ湾海峡庁」は7月31日、X(旧ツイッター)を通じて、海峡の通航が現状「不可能になっている」との見解を発表しました。同庁は、米軍による攻撃的な動きが継続していることを最大の理由に挙げており、「事態が安定し次第、全ての申請を検討し、許可証を順次発行する」と説明しています。
同庁は2026年5月に設置され、6月19日には海峡を通過する商船に対して48時間前までの事前申請を義務付ける手続きの詳細を発表していました。今回の通航「不可能」宣言は、中東地域における米国とイランの軍事的緊張が制御困難なレベルまで高まっていることを示しています。
米メディアの報道によると、トランプ米政権はイスラエルと共同で、イランの発電所や製油所などのエネルギー施設に対する大規模な攻撃を計画しているとされます。7月31日に米メリーランド州で開かれた閣議でトランプ大統領は、「我々は激しく攻撃するつもりだ」と述べ、イランへの不信感をあらわにしました。
これに対しイラン側も実力行使を強めています。イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は7月31日、自国が指定する航路を外れてホルムズ海峡の通過を試みた石油タンカー2隻を攻撃して停船させ、他の4隻を引き返させたと発表しました。革命防衛隊は、米中央軍が出した声明は虚偽であると主張し、船会社と船舶保険会社に米国の情報に注意を払わないよう求めており、両国間で激しい情報戦が展開されています。
さらに、イランの外交・安全保障政策を決定する最高安全保障委員会のモハンマドバゲル・ゾルガドル事務局長は31日の声明で、米軍がイラン関連船舶を対象とした海上封鎖や攻撃を続ければ、「ホルムズ海峡や他の海峡の封鎖はより強化される」と強い警告を発しており、世界のエネルギー輸送の要衝は事実上の完全封鎖状態へと突き進んでいます。
専門家からは、供給不安の高まりが世界経済への大きな下押し圧力になると危惧する声が上がっています。国内においても、原油価格の高騰が長期化すれば、実質国内総生産(GDP)が押し下げられ、景気後退と物価上昇が同時に進むリスクが指摘されています。
国内への原油供給への影響と代替調達の進展
ホルムズ海峡の通航が不可能となったことで、輸入原油の9割以上を中東産に依存してきた日本への影響が強く懸念されています。ホルムズ海峡を通過する原油は世界全体の約2割を占めており、長期化すれば前例のない供給ショックを引き起こす可能性が指摘されています。しかし、日本政府は情勢悪化を受けて、いち早く海峡を経由しない代替ルートでの原油調達を進めてきました。
高市首相は関係閣僚会議で、ホルムズ海峡を通らない中東産のほか、米国や中南米、アフリカなど計14か国からの調達を確保したと表明しています。具体的に、7月の原油調達は前年比で約10割回復する見通しであり、8月以降も75%程度の代替調達を維持することで、2028年3月末までは安定供給が継続可能とされています。この結果、国家備蓄を活用しつつ安定供給が可能との見通しが示されました。ただし、代替ルートでの輸送には通常より時間がかかり、コストの大幅な増加が伴うため、国内におけるガソリンや石油製品の価格上昇は避けられない情勢です。原油高は物流費や電気代の上昇を通じて国内経済を圧迫するため、国民生活への打撃を抑える継続的な対応が求められています。












-300x169.jpg)