
米実業家イーロン・マスク氏が、11月の米中間選挙で共和党候補を支援するため、自身のスーパーPAC(特別政治活動委員会)「アメリカPAC」を通じて1億〜1億2000万ドル(約160億〜190億円)を投じる方針を固めたことが分かりました。米紙ニューヨーク・タイムズが7月30日、計画に詳しい関係者2人の証言をもとに報じたものです。
報道によりますと、支援先として想定されているのは接戦が見込まれる複数州の上院選です。具体的には東部メーン州、中西部ミシガン州、オハイオ州、さらにはアラスカ州やアイオワ州の上院選が初期の対象に含まれているとされています。今後はノースカロライナ州、ジョージア州、南部テキサス州の上院選への関与も検討されており、対象州が増える可能性があります。加えて、西部カリフォルニア州などの下院選にも資金を投入する計画だといいます。
アメリカPACは声明で、接戦が予想される上下院の選挙戦で「攻守双方で積極的に活動する」とし、2026年の中間選挙に向けて「歴史的な規模」の投票呼びかけ運動を展開する方針を示しました。連邦選挙資金報告書によると、同PACは2025年1月以降すでに5230万ドルを支出しており、今回の選挙サイクルで調達した5030万ドルのうち約5000万ドルはマスク氏本人が直接拠出したものです。中間選挙では野党側が優位に立つ傾向が指摘されるものの、同PACは共和党が下院・上院の多数派を維持できる立場にあるとの見方を示しています。
マスク氏はこれまでも共和党の有力な資金提供者として知られ、2024年の大統領選ではトランプ大統領の当選を後押しするため2億6000万ドル以上を拠出したとされています。今回の動きは、同氏が政治献金の縮小を一時表明していた経緯を経た上での再拡大となります。
トランプ氏との確執を経て再び共和党支援に
マスク氏は第2次トランプ政権で新設された政府効率化省(DOGE)を率いましたが、その後トランプ氏との関係が悪化し、昨年7月には新党「アメリカ党」の設立を発表するなど決別姿勢を示していました。今年5月ごろには政治献金を大幅に縮小する意向を表明し、企業経営に軸足を置く姿勢を強調していた時期もありました。
しかし共和党側の接戦区での苦戦が伝えられる中、マスク氏は再び大口献金者としての役割に戻る形となりました。今回の投票促進活動は少なくとも8つの州で展開される見通しで、戸別訪問やデジタル広告、ダイレクトメールを活用した保守層への働きかけが中心になるとみられています。トランプ政権にとっては、中間選挙で議会多数派を維持できるかどうかを左右しかねない大型支援として注目が集まっています。



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