
クウェートのローミー石油相は2日、ホルムズ海峡を迂回して原油を輸出するためのパイプライン建設計画を、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など周辺国と協議していると明らかにしました。海峡の通航停止でクウェートの石油輸出は事実上止まっており、同国が中東の緊張の長期化を前提に代替ルートの確保を急いでいる姿勢が鮮明になっています。
ローミー氏が日本メディアのインタビューに応じたのは初めてで、日本を「戦略的顧客」と位置づけました。クウェートは日本にとって主要な原油輸入元の一つであり、同氏は日本を含む友好国と戦略備蓄の増強も協議していると述べています。日本向け供給の安定性は、アジア全体のエネルギー安全保障にも影響するため、各国の備蓄政策が注目されています。
イランから攻撃されたクウェートの石油貯蔵タンクの再建には「少なくとも1年」が必要との見方も示されました。ローミー氏は、ホルムズ海峡がイランに事実上封鎖されている限り「石油輸出はゼロ」だと訴え、新たなパイプライン建設の可能性は「非常に高い」と語っています。クウェートは湾岸の奥に位置し、輸出網の制約が大きいことから、周辺国との連携が避けられない状況です。
日本向け供給への波及
クウェートの輸出停滞が長引けば、日本の原油調達や国内在庫の運用にも影響が及ぶおそれがあります。ホルムズ海峡の混乱は、すでに湾岸産油国の輸出量を大きく押し下げており、代替輸送ルートを持つ国と持たない国の差が鮮明になっています。
中東情勢の変化は、日本の石油備蓄政策を「非常時の保険」から「供給網を支える実動手段」へと押し上げています。ホルムズ海峡の通航不安が長引けば、中東依存度が高い日本は原油調達の不確実性に直面し、国家備蓄や民間備蓄の放出を前倒しで使う判断が増えます。
政府は、中東地域からの供給に支障が出る場合、他の供給国やスポット市場からの調達を増やす方針です。実際に2026年には、国家備蓄原油30日分、民間備蓄15日分、産油国共同備蓄6日分の放出が始まり、備蓄は「積み上げておく」だけでなく「市場の混乱を和らげる」役割を担うようになりました。
日本の備蓄政策で大きく変わったのは、単なる数量確保ではなく、代替調達と備蓄放出を組み合わせる運用に比重が移ったことです。
中東情勢の悪化を受けて、政府は毎日の備蓄推計を公表し、需給の見通しを細かく管理しています。これは、価格急騰や物流停滞が起きても、国内供給を維持するための政策対応が常態化していることを示します。
備蓄量そのものについては、官民合わせて約8か月分あると案内されていますが、実際には精製能力や輸送制約があるため、数字どおりに使えるわけではありません。そのため、今後は「備蓄の日数」だけでなく、どの油種をどの経路で供給するかが一段と重要になります。
中東情勢の変化は、日本の石油備蓄を“安全在庫”ではなく、“外交・物流・価格安定の装置”として再設計する圧力になっています。
クウェートがサウジやUAEとの協議を進める背景には、輸出停止リスクを恒常的な問題として扱わざるを得ない現実があります。日本にとっては、原油の安定確保と備蓄の積み増しをどう両立させるかが、今後の焦点になりそうです。












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