
モーター大手であるニデックの不正会計問題を巡り、同社の株主である男性が会社側に対し、創業者の永守重信氏や現社長の岸田光哉氏ら現旧の役員計9人に対して、合計50億円の損害賠償を求める訴訟を起こすよう提訴請求書を送付したことが明らかになりました。会社法に基づくこの手続きでは、会社側が請求書を受領してから60日以内に提訴に踏み切らない場合、株主自身が会社に代わって役員らの責任を追及する株主代表訴訟を起こすことが可能となります。請求の対象となっている損害には、一連の不祥事による会社の信用毀損や、実態解明のために設置された第三者委員会の費用などが含まれています。
この問題の発端となったのは、業績をよく見せかけるためにグループ全体の固定資産の減損処理を意図的に回避するなどの手口で行われた不適切な会計処理です。第三者委員会の報告によれば、最終利益に対するマイナスの影響額は累計で1607億円という巨額に上っています。第三者委員会の報告書によると、同社は業績をよく見せるため、グループ全体の固定資産の減損処理を意図的に回避するなどの不正会計を行っていました。
さらに、会計問題にとどまらず、顧客の了承を得ずに設計変更や検査データの改ざんを行うといった品質に関する不正行為も少なくとも1000件以上確認されるなど、ガバナンスの著しい不全が連鎖的に露呈しています。提訴請求書によれば、今回の賠償請求は会社の信用毀損に伴う損害などを対象としています。一方で品質不正の疑いに関しては、同社は外部の専門家でつくる調査委員会を設置し、8月までの調査完了を目指して実態解明を進めています。
企業風土改革への課題と東証からの厳しい措置
相次ぐ不祥事を受け、市場からの視線は厳しさを増しています。東京証券取引所は、内部管理体制の抜本的な改善が必要であるとして、同社を「特別注意銘柄」に指定しました。これに伴い、東証プライム市場の時価総額基準に基づく最高額となる9120万円の上場契約違約金の支払いを求める方針を固めるなど、極めて重い処分を下しています。
これらの事態が及ぼした影響の大きさは、各数値にも表れています。株主が請求する計50億円の損害賠償額をはじめ、不正会計による最終利益への累計1607億円のマイナス影響、さらには1000件を超える品質不正の発覚、そして東証の規定で最高額となる9120万円の上場契約違約金など、会社が受けた経営への影響と市場からの信頼回復が急務となっています。
原則として指定から1年後の審査において改善計画の実効性が認められなければ、上場廃止となる恐れもあります。岸田光哉社長は品質不正問題の公表時の記者会見において、「不正会計問題に続き、深くおわびする。問題を徹底的に洗い出し、信頼される会社に再生する」と陳謝しています。しかし、カリスマ経営者への過度な依存から脱却し、利益最優先の企業風土をいかに浄化していくか、新体制への真価と法的な責任の所在が今後の大きな焦点となります。












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