
政府は8月5日、飲食料品の消費税率を来年4月から2年間、1%に引き下げる方針を臨時閣議で決定しました。対象は、現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品です。残る1%分に相当する年間約6000億円の税収は中低所得者層に現金給付し、飲食料品にかかる消費税負担を「実質ゼロ」とする狙いです。1989年の消費税導入から約37年で、税率そのものを引き下げるのは初めてとなります。
今回の方針は、長引く物価高で家計の負担感が強まるなか、中低所得者を中心に負担を軽減する緊急対策として位置づけられています。政府は、飲食料品の減税措置を「給付付き税額控除」制度の本格導入までの「つなぎ」として活用する方針で、税制・社会保障改革との一体的な見直しを進める考えです。
対象となる飲食料品は、現在の軽減税率と同様に、スーパーやコンビニで購入する食品やテイクアウト・デリバリーなどが中心で、外食の店内飲食は原則として除かれる方向とされています。
臨時閣議に先立ち、自民党は同日午前、臨時総務会などで基本方針案を了承しました。与野党が参加する「社会保障国民会議」の下では実務者会議で議論が続いており、政府はそこでの議論を踏まえて9月に税制改正大綱を取りまとめる段取りです。
高市早苗首相は5日夕方、記者団に「制度の詳細設計をさらに進め、9月には大綱を決定したうえで臨時国会に法律案を提出し、早期成立を目指したい」と述べました。
一方で、減税が限られた期間と対象にとどまることへの指摘もあります。財政面では、消費税収減少と給付財源の確保、将来の社会保障財源への影響を懸念する声もあります。高市首相は5日、財源については国債の追加発行に頼らず、歳出・歳入改革や補助金の見直し、税外収入の確保などで対応し、社会保障財源にも影響が生じないようにする考えを強調しました。
秋の臨時国会で法案審議へ 与野党攻防と「給付付き税額控除」の行方
与野党の「社会保障国民会議」の実務者会議では、減税を重視する与党案と給付措置を手厚く求める野党側の主張に隔たりがあり、7月27日の会合では各党の意見集約を事実上断念した経緯があります。
臨時国会では、飲食料品減税と現金給付を一体で進める政府方針をめぐり、与野党の議論が続く見通しです。また、減税対象から外れる外食産業では、客足への影響や価格転嫁のあり方を懸念する声が出ています。
中長期的には、飲食料品の減税措置は「給付付き税額控除」への移行措置と位置づけられています。政府は、所得に連動したきめ細かな給付を2027年6月以降に先行導入したうえで、税額控除と組み合わせた新制度の本格導入を目指す方針です。





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