警察庁、「トクリュウ」の暗号通信を遠隔解析へ 新捜査手法巡り10日に有識者会議

警察庁は8月6日、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」が仲間内の連絡や指示に使う秘匿性の高い通信アプリについて、内容を遠隔から解析し、犯行計画を事前に把握する新たな捜査手法の導入を検討していると発表しました。特殊詐欺などの被害の未然防止を主な目的としています。
トクリュウは、SNSを通じて実行役を募る「闇バイト」を典型とし、指示役との連絡には暗号化や自動削除機能を備えた「シグナル」や「テレグラム」といった秘匿性の高いアプリが使われることが多いとされています。
これまでの捜査では、実行役らから押収したスマートフォンなどの端末を解析し、関与者を特定する方法が中心でした。しかし解析には時間がかかるうえ、得られる情報も限られており、アプリ上でしか接点を持たない中核的な指示役の特定は難しいのが実情です。加えて、メールやSNSと異なり通信事業者側がやり取りの内容を把握していないため、捜査関係事項照会によって情報を得ることもできません。
こうした課題を受け、警察庁は8月10日に有識者による検討会の初会合を開き、通信の秘密など人権上の論点や、必要となる法整備について議論を始める方針です。早期の導入を目指すとしています。想定されている新手法は、捜査や情報分析を通じてあらかじめ特定した上位メンバーのスマートフォンなどを遠隔操作し、通信内容やデータを把握するというものです。次の犯行計画や標的とされる被害者を割り出すことで、パトロールの強化や対象者の保護につなげ、被害の未然防止と組織の全容解明・検挙の両方に生かす狙いがあります。
政府は7月に開いた犯罪対策閣僚会議で緊急対策を打ち出し、新たな捜査手法の検討を加速する方針を示していました。今後は10日の初会合を皮切りに、通信の秘密や人権保護とのバランスをとりながら、どのような法整備が必要になるかを具体的に詰めていく方針です。
相次ぐ強盗事件が浮き彫りにした捜査の限界
トクリュウを巡っては、深刻な事件が相次いでいます。今年5月には栃木県で、住宅に押し入られた女性が殺害される事件が発生するなど、対策強化が急務となっています。
首都圏で相次いだ強盗事件の捜査では、警視庁などの合同捜査本部がおよそ750台のスマートフォンを解析し、指示役が捜査を混乱させる目的で50を超えるアカウント名を使い分けていたことが判明しました。こうした地道な端末解析には多大な時間と労力が必要で、実行役から指示役へたどり着くまでに時間を要することが、被害の拡大を招いているとの指摘もあります。
警察庁が検討する遠隔解析の手法が実現すれば、事件発生後の捜査だけでなく、犯行前の段階で計画を把握し被害を未然に防ぐことが可能になると期待されています。一方で、通信の秘密やプライバシー保護との兼ね合いをどう図るかが、今後の有識者会議における大きな論点となりそうです。












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