
米衛星インターネット大手Hughes Satellite Systemsは、米国時間8月2日夜に米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請しました。同社が展開する「Hughesnet」は、イーロン・マスク氏が率いるSpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」との競争激化により経営が悪化していたとされています。
Hughesnetの加入者数は、Starlinkが登場した2020年12月時点で約156万人に達していましたが、その後急速に減少し、2026年3月末時点では68万1000人まで落ち込みました。さらに2026年8月に発表されたEchoStarの四半期報告書によると、第2四半期だけで加入者が5万9000人減少したことも明らかになっています。同社は「衛星通信を基盤とする競合他社や他の技術との競争が激化している」と説明しています。
Hughesnetが利用する静止軌道(GEO)衛星は高度約3万5400キロメートルを周回する一方、Starlinkの衛星は地上約550キロメートルの低軌道(LEO)を周回しています。軌道の低さゆえにStarlinkは高速かつ低遅延の通信を実現できる点が、両者の競争力を大きく分けたとみられます。Hughes Satellite Systemsの最高再建責任者を務めるRobert Del Genio氏は、裁判所への提出文書の中で「低軌道の衛星群が拡大し消費者の負担が軽減する中、競合各社は速度と遅延という消費者が最も重視する性能指標で当社の従来サービスを上回る製品を提供してきた」と、この技術的な差を破産の主要因として指摘しています。
裁判所への提出文書によると、同社の従業員は総数1275人にのぼり、このうち400人を解雇する計画があるとされています。今回の破産法適用の申請には満期を迎える担保付き債務および無担保債務への対応や資本構造の強化に加え、企業・政府・防衛分野に特化した事業への転換を加速させる狙いがあるとみられます。
親会社EchoStarでは相次ぐ再建手続き、サービス継続を強調
Hughes Satellite Systemsの親会社であるEchoStarは、今回のHughesnetの申請に先立ち、携帯電話サービス「Boost Mobile」を運営するDish Wirelessと衛星テレビサービス「Dish Network」を運営するDish DBSについても、すでに破産法の適用を申請していました。EchoStarグループ全体で事業再編が進む中、衛星通信部門もその流れに合流した形です。
Hughesnet側は今回の手続きが利用者に与える影響について「顧客への影響はなく、通常どおり事業を運営している。今回の手続きによるサービスの中断はないと見込んでいる」とコメントしており、当面は住宅向けサービスを継続する方針です。今後は企業や政府、防衛分野の事業へと軸足を移しながら、事業構造の立て直しを図る見通しです。












-300x169.jpg)