【医師解説】子どもの運動能力を伸ばすカギ 最新研究が示すスポーツと外遊びの効果

【医師解説】子どもの運動能力を伸ばすカギ 最新研究が示すスポーツと外遊びの効果

最近、外で遊んでいる子どもを見なくなりましたね。

以前、昭和の時代には、晴れた日には缶蹴りや鬼ごっこ、かくれんぼなど、公園や外で遊んでいる子どもたちがほとんどでした。しかし、時代の流れが変わり今はインドアな遊び方も多く、外で遊んでいる子どもたちも減っているように感じます。

しかし、体は人生を生き抜く一番の「資本」です。体力があってこそ、色々な挑戦ができます。

では、どのようにすれば子どもたちに効率的に体力をつけることができるのでしょう。外遊びやスポーツと運動能力の関連を調べた最新論文をご紹介します。

論文

Nanne-Mari Luukkainen,Arto Laukkanen,Donna Niemistö,et al.Children’s outdoor time and multisport participation predict motor competence three years later.J Sports Sci.2025 Mar;43(5):431-439. 
doi: 10.1080/02640414.2025.2460892. Epub 2025 Feb 1.

2025年3月、フィンランド、ユヴァスキュラ大学のNanne-Mari Luukkainen氏らはさまざまなスポーツをしている子どもは運動能力が高いことなどをスポーツ科学・運動科学全般を扱う国際誌「Journal of Sports Sciences」に報告しました。

結論 幼少期の多様な運動経験が、将来の運動能力を育む!

フィンランドの研究チームが、幼少期(3歳~8歳頃)に戸外で遊んだ時間や、複数の種類のスポーツに参加した経験が、その数年後(学童期中期:6歳~11歳頃)の運動能力の発達にどのような影響を与えるのかを調査しました。

すると、特にいろいろな種類のスポーツを経験することが、子どもたちの将来の幅広い運動能力の向上に重要であり、女の子は「外遊び」が重要であることがわかりました。

①背景

幼児期から児童期にかけては、走る、跳ぶ、投げるといった基本的な動き、いわゆる「基礎運動スキル」を身につける上で非常に重要な時期であり、将来の運動能力に関わることが知られています。

しかし、どんなスポーツや外遊びをすれば、「基礎運動スキル」に関わってくるのか、詳しいメカニズムはまだ十分に解明されていませんでした。

②目的

そこで本研究では、子どもたちが幼い頃(3歳~8歳頃)に、「複数の種類のスポーツに参加すること」や「戸外で遊ぶ時間」が、数年後の学童期中期(6歳~11歳頃)の運動能力と、どのように関連しているのかを長期間にわたって追跡調査しました。 

また、計画されたスポーツ活動と外遊びの時間が、それぞれ独立して運動能力に影響を与えるのか、それともお互いに影響し合って効果を高めるのかも調査しました。

③方法

この研究は、フィンランドに住む627名の子どもたち(調査開始時の平均年齢は約5歳半、女の子が51.0%)を対象に、約3年間にわたって行われました。

まず、保護者の方々にアンケートに答えてもらい、子どもが参加している計画されたスポーツの種類や数、平日の保育・学校後や週末に戸外で遊ぶ平均的な時間などを尋ねました。

3年後、子どもたちの運動能力を、専門的な運動能力テストにより以下の4項目にわけて測定しました。

  • 移動運動スキル:ホッピング(片足跳び)やスキップなど、体を移動させる能力。
  • 物体操作スキル:ボールを片手でドリブルしたり、ボールを投げたりする能力。
  • 基礎運動スキル:上記2つを総合的に評価したスキル。
  • 横跳び:バランス能力や敏捷性。

結果

3年間の追跡調査の結果、以下のことがわかりました。

① やはり多様なスポーツ経験は強い!

幼少期に複数の種類のスポーツに取り組んでいた子どもたちは、特定のスポーツのみ、あるいは全くスポーツをしていなかった子どもたちと比較して、3年後の移動運動スキル、物体操作スキル、基礎運動スキル(FMS)、そして横跳びのすべての項目で、より高い運動能力を示しました。 

これは、男の子も女の子も共通して見られました。

② 女の子は外遊びの時間も大切

幼少期の平日の外遊び時間が長い女の子は、3年後の横跳び、物体操作スキル、基礎運動スキルのスコアが高いという関連が見られました。  

特に、平日に30分未満しか外で遊ばない女の子に比べて、30分〜60分外で遊ぶ女の子は、物体操作スキル(OCS)が約14.5%、基礎運動スキル(FMS)が約10.0%高い値を示しました。

男の子には明確な違いがなかったので、特に女の子の外遊びは重要ということですね。

③ スポーツと外遊び、それぞれの独立した効果

興味深いことに、計画されたスポーツへの参加(特に複数のスポーツへの参加)と、外遊びの時間は、それぞれが独立して子どもの運動能力の発達に良い影響を与えている可能性が示されました。 

 つまり、どちらか一方だけでも運動能力を高める効果が期待でき、必ずしも「両方やらなければ意味がない」というわけではなさそうだ、ということです。

また、両者の特別な相乗効果もありませんでした。

子どもはとにかく体を動かす!

以上から、子どもたちは色々なスポーツや外遊びを経験することで、将来の運動能力につながることがわかりました。

まずは難しく考えすぎずに、

  • 毎日少なくとも30分は外で体を動かす時間を作る
  • 子どもが楽しめる計画された運動やスポーツ活動に参加させてみる

といったことから始めてみるのが良いのかもしれませんね。

今の時代、子どもたちは体を動かさないことが多くなりがちです。スポーツや外遊びを通して、心も体も健やかに成長させてあげましょう。

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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