台湾の駐日大使に相当する台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表は8月9日、長崎市で開かれた原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を欠席しました。代表処は、台湾側の座席が「使節団の区域外」に配置されたことへの抗議として、出席者を格下げしたと説明しています。式典には駐福岡弁事処の陳銘俊処長が李氏の代理として出席しました。
代表処が発表した声明では、長崎市が「台湾の国家としての尊厳と地位を傷つけた」と非難し、台湾を自国の一部とみなす中国に長崎市が迎合していると批判しています。李氏は「長崎市が中国に追従し、日本に友好的な台湾をおとしめた」として「厳正な抗議と非難」を表明しました。対日関係を重視する台湾の頼清徳政権の高官が、日本の自治体をこれほど強く批判するのは異例だと報じられています。
一方、李氏は8月6日に広島市で開かれた平和記念式典には出席し、各国大使と同様の扱いを受けたとされています。台湾は前年、長崎と広島の式典で初めて駐日代表の出席を実現しましたが、長崎では前年も同様に「屈辱的な扱い」だったものの、出席を優先したと説明されています。日本と台湾には正式な外交関係がなく、長崎市には中国の総領事館が置かれています。
長崎市は「外務省の名簿順」と説明
今回の座席問題について、長崎市側は台湾代表団の着席場所は「海外席」のうち、各国大使の後方で国際機関と同列だったと説明しています。着席順は外務省の名簿に基づき、特命全権大使を優先したうえで、その後に臨時代理大使や書記官を配置する原則によるものだとされています。李氏は6日、SNS上で広島市の式典では各国大使と同列の席が準備されたと投稿していました。
台湾側は国会議員などを通じて事前に申し入れを行っていたにもかかわらず、長崎市が着席場所を「外交団エリア外にあえて配置」したと主張し、「核兵器開発計画を拡張している中国」の意向を受けたものだとして、極めて遺憾で失望を感じるとの見解を示しています。
背景には、長崎市が台湾を式典の招待・案内の対象外としてきた経緯があります。長崎市の鈴木史朗市長は当初、日本と外交関係を持つ157の国と地域には招待状を、国連に代表部を置く国と地域には案内状を送る一方、台湾はいずれにも該当しないとして呼び掛けない方針を示していました。その後、台湾側から式典への参加を希望する意向が市側に伝えられたことを受け、鈴木市長は対応を検討する考えを表明し、最終的に出席を認める判断に至ったと説明しています。台湾代表が式典に参加した公的な記録はこれまでになく、今回の座席問題は日台関係者の間で大きな注目を集めています。












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