
アフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)で流行しているエボラ出血熱の感染者数が、8月7日までに4000人を超えたことが分かりました。コンゴ当局の発表によると、確認された感染者数は4053人、うち1850人が死亡したとされています。
今回の流行は2026年5月15日に宣言されたもので、原因ウイルスは「ブンディブギョ株」と呼ばれるエボラウイルスの一種です。世界保健機関(WHO)は5月17日、この流行について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当すると宣言しており、近隣国への感染拡大リスクの高さを指摘してきました。
流行の中心地は東部イトゥリ州で、州都ブニアを含む複数の保健区域で感染が確認されています。その後、北キブ州や南キブ州にも感染が広がり、隣国ウガンダでもコンゴから渡航した感染者が確認されました。WHOによれば、今回の流行規模は感染者数・拡大速度ともに過去のエボラ流行の中で例を見ないペースとなっており、専門家は現在の集計以上に実際の感染者数が多い可能性を指摘しています。感染拡大の背景には、東部地域で続く武装勢力の活動による治安の悪化や、住民の移動の活発さが影響しているとみられています。
ブンディブギョ株には現在、承認されたワクチンや治療薬が存在しません。これまでコンゴでの流行の多くは別系統の「ザイール株」によるもので、ブンディブギョ株による大規模流行は2012年以来、同国では2例目となります。感染拡大の抑制には、接触者の追跡調査や地域住民への啓発活動が不可欠とされていますが、治安上の制約からアクセスが困難な地域も多く、対応には困難が伴っています。
ワクチン開発が加速、秋にも大規模臨床試験へ
感染拡大が続く中、ブンディブギョ株に対するワクチン開発の動きも急速に進んでいます。感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)の最高経営責任者は、開発中のワクチンについて、早ければ今年の9月末から10月にも大規模な臨床試験に移行できる可能性があると明らかにしました。
英オックスフォード大学とインド血清研究所が共同開発したワクチン候補は、7月から英国内で第1相の臨床試験を開始しています。また、米モデルナも同様にブンディブギョ株を対象としたワクチン候補の臨床試験をカナダで始めました。このほか、経口の抗ウイルス薬を用いた予防投与の効果を検証する試験もイトゥリ州で進められており、WHOは治療薬や予防薬の開発・試験が過去のエボラ流行と比べて迅速に進んでいると評価しています。ただし、いずれの候補についても有効性は今後の臨床試験結果を待つ必要があるとされ、現時点で承認された治療法はありません。







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