
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8月9日の閣議にて、アメリカのドナルド・トランプ大統領が主導するパレスチナ自治区ガザの和平に向けた15項目の工程表(ロードマップ)について、受け入れを明確に拒否する姿勢を示しました。この工程表は、トランプ氏が議長を務めるガザの暫定統治機関である「平和評議会」が公表したもので、イスラム主義組織ハマスの武装解除と連動する形で、イスラエル軍が段階的に撤退する内容が盛り込まれていました。
イスラエル政府の発表によると、ネタニヤフ首相は治安閣議の場で、「イスラエルは15項目の文書を受け入れない」と断言しました。さらに、「ハマスが完全に武装解除するまでは、ガザから軍は一切撤退しない」と強調し、軍事面での譲歩を許さない強硬な立場を改めて浮き彫りにしています。また、米国の方針に対し、「米国には考えがあるが、イスラエルには受け入れられないものもある」と言及し、自国の安全保障上の懸念から妥協を拒絶する方針を貫いています。
平和評議会を中心とした和平計画は、今年1月にスイスで設立が発表されたものであり、ガザの復興や非軍事化を進める「第2段階」への移行を意味していました。トランプ大統領は7月30日、ハマスの武装解除に向けた「歴史的合意に達した」とSNSで発信し、自身の大きな外交成果としてアピールしたばかりでした。この和平と復興の枠組みには莫大な資金が準備されており、国際的な支援体制の構築が進められていました。具体的には、アメリカが独自に約100億ドル(約1兆5500億円)の拠出方針を示したほか、カザフスタンやサウジアラビアなどの加盟9か国も合わせて70億ドル以上を拠出する予定でした。
しかし、当事国であるイスラエルが軍の撤退を拒んだことで、莫大な資金と国際枠組みを用いたトップダウン型の復興計画は早くも行き詰まる事態となっています。
撤退拒絶に対するハマス側の反応と深まる対立
イスラエルによる強硬な拒絶姿勢が明らかになる中、ハマス側は対照的な反応を見せています。ハマスの幹部であるバシム・ナイム氏は9日に声明を発表し、15項目の工程表を引き続き順守していく考えを強調しました。
そのうえで、ナイム氏は仲介国やアメリカに対し、「ネタニヤフ政権に工程表を順守させるよう圧力をかけることを期待する」と述べ、国際社会を通じた働きかけを強く求めています。
しかし、肝心のイスラエル軍の段階的撤退が見通せなくなったことで、連動して進められるはずだった武装解除のプロセス自体も暗礁に乗り上げることは避けられません。トランプ大統領が主導した野心的な和平と復興への計画は本格的な実行を前に大きな障壁に直面しており、ガザ情勢の安定化に向けた道のりは依然として極めて険しい状況が続いています。












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