
楽天グループは8月10日、第2四半期の決算を発表し、携帯電話事業である楽天モバイルの契約数が同社調べで1075万回線を突破したことを明らかにしました。この急激な契約者増加を背景に、これまで同社の通信網を支えてきたKDDIとのローミング(通信回線の貸し出し)契約が大きな転換点を迎えています。
KDDIの松田浩路社長は、8月7日の決算会見にて、楽天向けの現行ローミング契約を2026年9月末で予定通り終了する方針を表明しました。松田社長は「想定外のエリアから想定以上のデータ通信量が入ってきている」と指摘し、自社のネットワーク資源をauやUQモバイルといった自社顧客へ優先的に割り当てる経営判断を下したと説明しています。
これに対し、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は10日の会見で、KDDIによるこれまでの協力に深い感謝を示した上で、「楽天が自社回線でカバーできているエリアについては順次縮小していくことで合意している」と述べました。ただし、基地局整備に時間を要する地方や過疎地帯に関しては、10月以降も期間と地域を限定してローミング協力を継続する方向で協議が進められています。
現在の各社携帯電話契約数を見ると、2026年3月時点でNTTドコモが約9300万回線、KDDIが約7300万回線、ソフトバンクが約5700万回線に上ります。対する楽天モバイルは2026年6月末時点で約1075万回線であり、大手3社には未だ及ばないものの、赤字幅を着実に縮小させながらシェアを拡大しています。しかし、秋以降に都市部でのKDDIローミングが終了することで、一時的な通信品質の低下を懸念する声も上がっており、利用者離れを防ぐための対策が急務となっています。通信エリアの維持には、地下街や高層ビル群などにおいて細やかな基地局設置が不可欠であり、これに伴う設備費用の増大や、人手不足といった課題も浮き彫りになっています。黒字化を目前に控える同社にとって、まさに正念場を迎えていると言えるでしょう。
自社網整備への巨額投資と宇宙通信が握る次世代の覇権
都市部でのローミング縮小という逆風に対し、楽天モバイルは自社ネットワークの徹底的な強化で対抗する構えです。2026年度には通信品質の向上を目的として2000億円超の大規模な設備投資を計画しています。特に要望の多い繁華街での5G基地局の増設や、地下鉄における周波数帯域の拡張(5MHzから20MHzへの拡大)を強力に推進し、トラフィックの分散と通信の安定化を図っています。
さらに次なる切り札として注目されるのが、米国のAST SpaceMobileと提携して展開する「Rakuten最強衛星サービス」です。市販のスマートフォンと人工衛星を直接通信させるこの画期的な技術は、2026年第4四半期の提供開始を目指しており、実現すれば山間部や離島を含めた日本全国の面積カバー率100%を標榜しています。
一方のKDDIも、ローミング終了を機に自社の低価格プラン「povo」を楽天ユーザーの副回線として売り込むなど、顧客獲得合戦はすでに熱を帯びています。独自の通信網確立と宇宙インフラという両輪で独立を目指す楽天と、通信品質を武器に攻勢を強める既存大手との間で、携帯業界の競争は新たな次元へと突入しています。










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