
米国務省は8日、南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)で中国が「国家級自然保護区」を設け、フィリピン漁民の活動を制限していることについて、領有権や海洋権益の主張を強める一方的な動きだとして批判しました。米側は、環境保護を掲げた規制が、係争海域における中国の実効支配を既成事実化する手段になりかねないとの見方を示しています。米国務省は、自由で開かれたインド太平洋を支持し、同盟国であるフィリピンと連帯する姿勢を改めて打ち出しました。
スカボロー礁はフィリピン・ルソン島の西方約200キロに位置し、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあります。一方で中国は同礁への主権を主張し、周辺海域で海警局の船舶を展開するなど、実効支配を続けています。フィリピンも領有権を主張しており、漁業活動や公船の航行を巡る対立は長期化しています。NHKによると、中国は保護区の設定に伴い、違法行為への取り締まりを強化する方針を示してきました。
中国側は自国の管轄水域で法に基づく措置を取っているとの立場です。しかし、フィリピン側は、中国による規制や妨害が自国漁民の伝統的な漁場へのアクセスを阻害していると反発しています。自然環境の保全が必要な課題である一方、係争地での制度設定が主権問題と結び付くことで、対立をさらに複雑にする構図です。
7月には、同礁周辺でフィリピンの漁民支援に向かっていた水産当局の船に対し、中国海警局の船が放水銃を使用したとフィリピン側が発表しました。中国側はフィリピン船が違法活動をしたとして反論しており、双方の主張は平行線をたどっています。時事通信は、7月24日に衛星通信が一時途切れたものの、けが人は確認されなかったと伝えています。
自然保護と海洋秩序、問われるルールに基づく対応
今回の米国の批判は、中国とフィリピンの二国間対立にとどまらず、南シナ海における国際法や航行の自由を巡る問題として注目されます。中国は環境保護と法執行を根拠に掲げるのに対し、フィリピンはEEZ内での権利が損なわれていると訴えています。
スカボロー礁を巡っては、フィリピンが7月、同礁と周辺海域に関する海図を国連事務局へ提出し、自国の主張を国際社会に示しました。中国はこれを国際法違反だとして受け入れない立場です。時事通信 今後は、現場での偶発的な衝突を避けながら、漁民の安全と海洋環境の保護を両立させる実効性ある対話の枠組みを築けるかが問われます。












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