
自動運転ソフトウェアの開発を主導する株式会社ティアフォーは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「次世代エッジAI半導体研究開発事業」に参画し、自動運転レベル4向けのソフトウェア定義型システム・オン・チップ(SoC)の独自開発に乗り出します。この取り組みは、東京大学大学院の川原圭博教授が代表を務める研究課題の一環として行われ、ティアフォーは推論処理を効率化するAIチップの論理設計を担当します。
ティアフォーが開発する専用アーキテクチャでは、大規模なTransformerモデルの処理に着目し、チップ内でデータを効率的に再利用することで外部メモリとのデータ転送量を削減し、数十ワット級の車載ECU(電子制御ユニット)での電力消費を極限まで抑えることを目指します。
さらに、AIモデルとハードウェアを繋ぐ標準化された中間表現「TOSA(Tensor Operator Set Architecture)」を導入することで、AI技術の進化に対してもソフトウェアの更新のみで継続的に対応できる適応性を確保します。自社が主導するオープンソースの自動運転OS「Autoware」と連携し、内部構造の透明性や処理過程の正当性を数学的に確認できる形式検証技術も取り入れます。ティアフォーの設計技術のオープンソース化により、各半導体メーカーが独自のチップ開発を加速できるエコシステムを構築することで、省電力を武器に自動運転向けAI半導体の国産化に道筋をつける狙いがあると報じられています。
先行投資により赤字継続も売上高は51億円超、最新の第3四半期決算
次世代技術への投資を加速させるティアフォーですが、8月14日に発表した2026年9月期第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)の連結決算では、先行投資の負担が浮き彫りとなりました。具体的には、売上高が51億7800万円を記録した一方で、営業損失は68億2600万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は41億7400万円を計上しています。
37億円の補助金収入が収益を下支えしたものの、研究開発費を含む販売費及び一般管理費が88億円へと膨らんだことが赤字の主な要因です。自動運転技術の社会実装やAI半導体の自前開発に向けた研究開発費が依然として重い負担となっています。
しかし、事業進捗は概ね計画通りに推移しており、通期の売上高予想である84億8400万円(前期比32.4%増)は据え置かれています。今回発表されたAIチップの無償公開戦略が、中長期的な収益基盤の確立にどう結びつくのか、今後の展開に市場の関心が集まっています。









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