
米アップルが中国のDRAMメーカー、長鑫存儲技術(CXMT)からメモリー半導体を調達する動きを進めるなか、価格を巡る交渉が難航していると報じられています。次世代iPhoneなどに使う低消費電力型DRAM「LPDDR5X」の供給を視野に入れた協議で、CXMTは値引きに応じず、韓国のサムスン電子やSKハイニックスと同等か、それ以上の価格を提示した可能性があります。
アップルはメモリー価格の急騰を受け、部材調達先の多様化を急いでいます。6月には、CXMT製チップの調達について米政府に承認を求めていると報じられました。ただし、アップル、米政府、CXMTはいずれもこの件について公式なコメントを示していません。
CXMTが強い価格姿勢を取れる背景には、DRAM市場の需給逼迫があります。生成AI向けの高帯域幅メモリー(HBM)やサーバー向け製品への生産配分が拡大し、従来型DRAMやモバイル向けLPDDRの供給余力が限られているとされます。市場調査会社TrendForceは、2026年4~6月期の従来型DRAM契約価格が前期比58~63%上昇するとの見通しを示していました。
CXMTには、中国のスマートフォン・PC関連企業などから発注が集まっているとも伝えられています。世界のPCメーカーの予約が2027年末出荷分まで積み上がったとの報道もあり、同社が新規顧客の獲得を目的に大幅な値引きを行う必要性は小さいとみられます。一方で、CXMTの一般DRAMは大手3社より平均販売価格が低いとの推計もあり、アップル向けの価格条件が製品仕様、数量、品質認定を含めた個別交渉によるものかどうかは明らかではありません。
調達多角化が映すメモリー市場の変化
CXMTの台頭は、長年にわたりサムスン電子、SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーが主導してきたDRAM市場の構図に変化を促す可能性があります。CXMTは生産能力の拡大を進め、世界DRAM市場での存在感を高めているとされます。
ただし、アップル製品への本格採用には、価格だけでなく、性能、消費電力、品質の安定性、長期供給の信頼性、米中関係を踏まえた規制対応など、多くの条件を満たす必要があります。調達協議の行方は、iPhoneの原価管理だけでなく、中国メモリーメーカーが世界のサプライチェーンでどこまで影響力を広げられるかを占う材料になりそうです。












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